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知らないと大損!家族を役員にするメリットをフル活用して賢く節税する具体的な手順

会社の経営において「家族を役員にすると節税できる」と聞いたことがあるかもしれません。

しかし、そのメリットを最大限に活かす具体的な方法や、税務調査で否認されるといったリスクまで正しく理解できているでしょうか。

本記事では、所得分散による節税効果から事業承継対策まで、家族を役員にする5つのメリットを徹底解説します。

さらに、知らなかったでは済まされないデメリットと、役員にするための登記申請や届出といった具体的な手順も5ステップでご紹介。

この記事を最後まで読めば、税務上のリスクを確実に回避し、家族の力を借りて賢く会社を成長させる方法が明確になります。

会社の経営者にとって、家族を役員に登用することは、単なる身内の優遇ではなく、会社の成長と安定を支える極めて有効な経営戦略となり得ます。

正しく制度を活用すれば、税負担の軽減から事業の将来設計まで、多岐にわたる恩恵を受けることが可能です。

ここでは、家族を役員にすることで得られる5つの具体的なメリットを詳しく解説します。

メリット1 所得の分散による所得税と住民税の節税

日本の所得税は、所得が高くなるほど税率も上昇する「累進課税制度」が採用されています。
そのため、社長一人に高額な役員報酬を集中させると、非常に高い税率が課せられてしまいます。

そこで、家族を役員にして役員報酬を支払うことで、社長一人の所得を複数人に分散させ、世帯全体で適用される税率を低く抑えることができます。

結果として、個人が納める所得税や住民税の合計額が減り、世帯全体の手取り額を最大化できるのです。

例えば、社長一人が年収2,000万円を受け取るケースと、社長が1,200万円、配偶者が800万円を受け取るケースを比較してみましょう。

ケース1:社長一人が2,000万円ケース2:社長1,200万円、配偶者800万円
世帯の合計所得2,000万円2,000万円
世帯の所得税・住民税(概算)約680万円約520万円(社長:約280万円 + 配偶者:約240万円)
節税効果(概算)約160万円の節税

上記のように、世帯の合計所得は同じでも、所得を分散させるだけで年間の税負担に大きな差が生まれます。

これは、それぞれが給与所得控除を受けられることも大きな要因です。

家族の勤務実態に応じた適切な報酬額を設定することが、このメリットを享受するための鍵となります。

メリット2 役員報酬の損金算入による法人税の節税

法人税は、会社の利益(所得)に対して課される税金です。

家族役員に支払う役員報酬は、原則として会社の経費、すなわち「損金」として計上することができます。

役員報酬という形で経費が増えれば、その分だけ会社の利益が圧縮されます。
これにより、課税対象となる所得が減少し、結果的に法人税の負担を直接的に軽減する効果があります。

つまり、会社から個人へお金を移しながら、同時に会社の節税も実現できるという、一石二鳥のメリットなのです。

ただし、損金として認められる役員報酬は、「定期同額給与」などのルールを守り、かつ業務内容や会社の経営状況に照らして「不相当に高額でない」金額である必要があります。

この点を無視すると、税務調査で損金算入を否認されるリスクがあるため注意が必要です。

メリット3 家族へ役員退職金を支給できる

役員が退職する際に支払われる「役員退職慰労金」は、税制上非常に優遇されています。

このメリットは、もちろん家族役員にも適用可能です。

通常の給与所得とは異なり、退職金は「退職所得」として扱われます。

退職所得には多額の「退職所得控除」が適用され、さらに控除後の金額を2分の1にしてから課税されるため、所得税や住民税の負担を大幅に抑えながら、まとまった資金を個人に移転できます。

これは、長年にわたって会社に貢献してくれた家族への慰労となるだけでなく、会社の内部留保を効率的に個人資産へシフトさせるための優れた出口戦略にもなります。

さらに、法人側にとっても、支給した役員退職金は全額を損金として算入できるため、支給した事業年度の法人税負担を大きく軽減する効果も期待できます。

メリット4 社会保険への加入で将来の保障が手厚くなる

常勤の役員になると、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。

これは一見すると保険料負担というデメリットに感じられるかもしれませんが、将来を見据えた大きなメリットでもあります。

これまで扶養に入っていた配偶者や、国民年金のみに加入していた家族が厚生年金に加入することで、将来受け取る老齢年金額が「国民年金(基礎年金)」に上乗せされる形で増額します。
これにより、世帯全体での老後の生活設計に厚みと安心感をもたらします。

また、健康保険に加入することで、病気やケガで長期間働けなくなった場合に給与の一部が補償される「傷病手当金」や、出産時に支給される「出産手当金」といった、国民健康保険にはない手厚い給付を受けられるようになります。

万が一の事態に備えるという観点からも、非常に価値のあるメリットと言えるでしょう。

メリット5 事業承継や相続税対策につながる

中小企業にとって、事業承継は避けて通れない重要な課題です。

家族を役員に登用することは、この課題に対する有効な布石となります。

後継者候補となる子供などを早い段階から役員として経営に参加させることで、経営者としての知識や経験、判断力を実践的に学ばせることができます。

また、取締役会などの意思決定の場に加わることで、経営者としての自覚を促し、金融機関や主要な取引先、従業員に対して「次期経営者」として認知してもらうスムーズな地盤づくりが可能です。

さらに、相続税対策としても極めて有効です。創業者である親から子へ財産を移転する際、贈与税の基礎控除(年間110万円)を超える部分には高い税率の贈与税が課されます。

しかし、役員報酬は労働の対価として支払われるため贈与には該当せず、贈与税の課税対象外です。

役員報酬や役員退職金という形で計画的に財産を移転していくことで、将来発生する相続財産そのものを圧縮し、相続税の負担を軽減する効果が期待できるのです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

家族を役員にすることは、所得分散や法人税の節税など多くのメリットをもたらす可能性があります。

しかし、その一方で安易に役員にしてしまうと、かえって会社の経営を圧迫したり、思わぬ税務上のペナルティを受けたりするリスクも潜んでいます。

メリットを最大限に活かすためには、デメリットと注意点を正確に理解し、事前に対策を講じることが不可欠です。

勤務実態がないと税務調査で否認される

家族を役員にする際に、最も注意すべきリスクが「勤務実態」の問題です。単に籍を置いているだけで、役員としての職務を全く行っていない、いわゆる「名ばかり役員」や「幽霊役員」と税務署に判断された場合、支払った役員報酬は経費(損金)として認められません。

税務調査では、以下の点が厳しくチェックされます。

  • 役員としてどのような業務を担当しているか(職務内容の具体性)
  • 実際に出勤しているか、業務を行っているか(タイムカード、業務日報、メールの送受信履歴など)
  • 経営に関する重要な意思決定に関与しているか(取締役会議事録への記載など)
  • 役員報酬の金額が、その職務内容や会社の規模、他の役員とのバランスをみて妥当か

もし勤務実態がないと判断されると、役員報酬は損金不算入となり、その分の法人税が追徴課税されます。

さらに、役員報酬ではなく「代表者から家族への個人的な贈与」とみなされ、高額な贈与税が課される可能性もあります。

加えて、過少申告加算税や延滞税といったペナルティも発生し、結果的に大きな損失につながるため、役員としての職務内容を明確にし、その勤務実態を客観的に証明できる証拠を必ず残しておくことが重要です。

社会保険料の負担が発生する

役員になると、原則として健康保険や厚生年金保険といった社会保険への加入が義務付けられます。

これはメリットである「手厚い保障」の裏返しであり、会社と個人の双方にとって新たな費用の発生を意味します。

社会保険料は、役員報酬の金額(標準報酬月額)に応じて決まり、会社と役員個人が約半分ずつを負担します。

これまで配偶者の扶養に入っていた家族を役員にする場合は特に注意が必要です。

役員報酬の金額によっては扶養から外れ、新たに社会保険料の負担が発生することで、世帯全体の手取り収入が減少してしまうケースがあるからです。

一般的に「年収の壁」と呼ばれる基準を理解しておきましょう。

年収の目安発生する影響注意点
約106万円超勤務先の規模や条件により、社会保険の加入義務が発生する可能性がある。従業員数が101人以上の企業(2024年10月からは51人以上)などが対象。
130万円以上配偶者の扶養から外れ、自身で国民健康保険・国民年金に加入するか、勤務先の社会保険に加入する必要がある。役員の場合、勤務時間に関わらず加入義務が発生することが多い。

役員報酬を設定する際は、節税効果だけでなく、社会保険料の負担額もシミュレーションし、世帯全体で最適な金額を検討することが賢明です。

役員報酬は定期同額給与が原則

従業員の給与とは異なり、役員報酬は法律で厳格なルールが定められています。

原則として、一度決めた役員報酬は、その事業年度が終了するまで毎月同じ金額を支払わなければなりません(定期同額給与)。

この金額を変更できるのは、原則として事業年度開始から3ヶ月以内のみです。

もし、期中の好きなタイミングで役員報酬を増額したり減額したりすると、その変更部分の金額は損金として認められず、法人税の課税対象となってしまいます。(ただし、経営状況が著しく悪化した場合など、やむを得ない事情での減額は認められることがあります。)

また、従業員のように業績に応じてボーナス(賞与)を自由に支給することもできません。

役員に賞与を支給して損金算入するためには、「事前確定届出給与」として、事前に税務署へ支給時期と金額を届け出て、その通りに支給する必要があります。

この届出を忘れたり、届出と違う金額を支給したりすると、全額が損金不算入となるため注意が必要です。

このように、役員報酬は柔軟な変更が難しいため、会社の資金繰りに大きな影響を与えます。

事業計画を慎重に立てた上で、無理のない金額を設定することが極めて重要です。

他の従業員のモチベーションに影響する可能性

税務や法務上のリスクだけでなく、組織運営における人間関係のリスクも無視できません。

社長の家族というだけで、勤務実態や貢献度に見合わない高額な報酬を得ている役員がいると、他の従業員はどう感じるでしょうか。

「社長の家族だから優遇されている」という不公平感は、真面目に働く従業員のやる気を削ぎ、社内全体の士気(モチベーション)を著しく低下させる原因となります。

このような不満は、優秀な人材の離職や生産性の低下を招き、長期的には会社の成長を阻害する深刻なリスクとなり得ます。

このリスクを回避するためには、家族であっても特別扱いせず、他の従業員が納得できる形で処遇を決定することが大切です。

役員としての役割と責任を明確にし、その貢献度に見合った報酬を設定する。
そして、その働きぶりを他の従業員にも示すことで、社内の不公平感をなくし、健全な組織風土を維持するよう努めましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

家族を役員に迎えることは、節税や事業承継の観点から多くのメリットがありますが、その恩恵を最大限に受けるためには、法的に定められた手続きを正確に踏むことが不可欠です。

手続きを誤ると、税務調査で指摘を受けたり、思わぬペナルティが発生したりする可能性があります。ここでは、家族を役員にするための具体的な手順を5つのステップに分けて、初心者の方にも分かりやすく解説します。

ステップ1 役員の職務内容と役職を決定する

最初に行うべきは、役員として迎える家族にどのような役割を担ってもらうかを具体的に決めることです。

これは、後の税務調査で「名ばかり役員」と判断されるリスクを避けるために最も重要なステップです。

まず、会社の事業内容や組織体制を考慮し、経理、総務、営業、マーケティングなど、どの分野でどのような業務を担当してもらうかを明確にします。
その上で、業務内容にふさわしい役職名(例:取締役、監査役など)を決定しましょう。
また、勤務形態も常勤(フルタイム)なのか、非常勤(月に数回程度の出社やアドバイザリー業務)なのかをはっきりとさせておく必要があります。

重要なのは、役職名と実際の業務内容、そして後述する役員報酬の金額が、社会通念上、整合性が取れていることです。

これらの内容は、後々トラブルにならないよう、書面に残しておくことをお勧めします。

ステップ2 株主総会で役員選任の決議を行う

役員の選任は、会社の最高意思決定機関である株主総会の決議によって正式に決定されます(株式会社の場合)。

中小企業では株主と経営者が同一であることが多いですが、形式的な手続きであっても必ず株主総会を開催し、役員選任の議案を付議・決議する必要があります。

この決議が完了したら、誰が、いつ、どこで、何を決定したのかを証明する「株主総会議事録」を作成しなければなりません

この議事録は、法務局での役員変更登記の際に必須となる公的な書類です。

記載すべき項目(開催日時、場所、出席役員・株主、議事の経過、決議結果など)が法的に定められているため、不備のないように正確に作成し、適切に保管してください。

なお、合同会社の場合は、定款に別段の定めがなければ、社員の過半数の一致によって業務執行社員を決定します。

ステップ3 役員報酬の金額を決定する

役員報酬の金額も、原則として株主総会の決議によって決定します。

役員報酬は会社の経費(損金)として計上できるため、法人税の節税に直結しますが、その金額設定には細心の注意が必要です。

特に、税務調査で「不相当に高額」と判断されると、高額とみなされた部分が損金として認められず、追徴課税が発生するリスクがあります。

常勤役員と非常勤役員の報酬相場

役員報酬の「相場」は法律で明確に定められているわけではありません。
会社の規模、業績、利益水準、そして役員本人の職務内容や貢献度によって大きく変動します。
常勤役員であれば会社の経営に深く関与するため比較的高額に、非常勤役員であれば関与度が低いため比較的低額になるのが一般的です。
同業種・同規模の他社の役員報酬水準を参考にしつつ、自社の経営実態に見合った金額を設定することが重要です。
経済産業省が公表している統計データなどを参考にすることも有効な手段の一つです。

不相当に高額と判断されないための基準

税務当局が役員報酬を「不相当に高額」かどうかを判断する際には、主に以下の3つの基準が用いられます。

  • 実質的基準:役員の職務内容、会社の収益状況、他の従業員への給与支給状況、同業他社の役員報酬水準などと比較して、その金額が妥当かどうかを判断する基準です。
  • 形式的基準:定款や株主総会決議で定められた限度額を超えていないかを確認する基準です。限度額を超えた部分は、問答無用で損金不算入となります。

これらの基準をクリアするためにも、なぜその報酬額になったのか、客観的な根拠を株主総会議事録などに明記しておくことが、税務リスクを回避する上で極めて有効です。

例えば、「経理業務全般を担当し、月次決算を主導するため」「週2日の勤務で、営業戦略に関する助言を行うため」といった具体的な職務内容を記載しておきましょう。

ステップ4 法務局で役員変更の登記申請を行う

株主総会で役員が正式に選任されたら、その事実を公的に記録するため、法務局で役員変更の登記申請を行います。

この手続きは会社の登記事項証明書(登記簿謄本)に役員の氏名を記載するために必須であり、社会的な信用を担保する上でも重要です。

注意すべきは、その期限です。

役員変更の登記申請は、役員の就任日(就任を承諾した日)から2週間以内に、会社の本店所在地を管轄する法務局へ行わなければなりません。
この期限を過ぎてしまうと、代表者個人が過料(罰金のようなもの)の制裁を受ける可能性があるため、速やかに手続きを進めましょう。

登記申請には、主に以下の書類が必要となります。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録(ステップ2で作成したもの)
  • 就任承諾書(新たに役員となる家族が就任を承諾したことを証明する書類)
  • 新任役員の印鑑証明書
  • 定款(必要な場合)
  • 委任状(司法書士などの代理人に依頼する場合)

これらの書類を準備し、登録免許税(資本金1億円以下の会社は1万円)とともに法務局に提出します。

手続きに不安がある場合は、司法書士に依頼するのが確実です。

ステップ5 税務署や年金事務所へ必要な届出を行う

法務局での登記が完了したら、最後に税務署と年金事務所(または健康保険組合)への届出を行います。

役員に報酬を支払うことで、会社は源泉徴収義務者となり、また役員は社会保険の加入対象者となるため、これらの手続きは必須です。

提出先ごとに必要な主な届出書類と提出期限は以下の通りです。

これらの手続きを怠ると、社会保険の適用が遅れたり、税務上のペナルティが課されたりする可能性があるため、登記完了後、速やかに行いましょう。

提出先主な届出書類提出期限の目安
税務署給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書給与支払事務所を開設した日から1ヶ月以内
年金事務所健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届就任の事実があった日から5日以内

特に社会保険の加入手続きは、たとえ非常勤役員であっても、一定の条件を満たす場合には加入義務が発生します

常勤役員はもちろん、非常勤でも役員報酬の額や勤務実態によっては加入対象となるため、不明な点があれば管轄の年金事務所に確認することをお勧めします。

これらの手続きをすべて完了して、ようやく家族を役員として迎える一連のプロセスが完了となります。

家族を役員にすることは、所得の分散による所得税・住民税の節税や、役員報酬の損金算入による法人税の節税など、会社と経営者個人双方に大きなメリットをもたらす有効な経営戦略です。

将来の事業承継を見据えた対策としても機能します。

ただし、これらのメリットを享受するには、勤務実態や業務内容に見合った適正な役員報酬額の設定が不可欠です。

これを怠ると、税務調査で経費として認められず、かえって追徴課税を課されるリスクがあるため注意が必要です。

本記事で解説した正規の手順を踏み、メリットを最大限に活用しましょう。

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