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株式会社設立時の資本金額別メリット比較|100万円・300万円・1000万円の違い

株式会社を設立する際の資本金はいくらが最適か、お悩みではないでしょうか。

本記事では、資本金100万円・300万円・1000万円のメリットと注意点を、信用力や税金、許認可の観点から比較解説します。

結論、最適な金額は事業計画によりますが、融資や信用を重視するなら300万円以上が目安です。

あなたの会社に最適な資本金額と、失敗しない決め方の具体的なステップが明確にわかります。

株式会社を設立する際の資本金は、法律上1円から設定可能ですが、最適な金額はあなたの事業計画や将来のビジョンによって大きく異なります。

資本金は、単なる設立手続き上の数字ではなく、会社の「体力」や「信用力」を示す重要な指標です。

安易に最低額で設定すると、事業開始直後から資金繰りに窮したり、取引や融資で不利になったりする可能性があります。

結論として、あなたの目指す会社の姿に合わせて、以下の3つの金額帯を目安に検討することをおすすめします。

それぞれの金額帯がどのような事業フェーズや目的に適しているのかを理解し、自社に最適な資本金額を決定しましょう。

スモールスタートなら資本金100万円から300万円未満

Web制作、コンサルティング、ライター業など、大きな初期投資や固定費がかからないスモールビジネスで起業する場合は、資本金100万円から300万円未満が現実的な選択肢となります。
この金額帯は、設立時の自己資金の負担を抑えつつ、事業開始後の当面の運転資金(数ヶ月分の経費)を確保することを目的としています。

資本金が1円や10万円といった極端に低い金額の場合、法務局での登記は可能ですが、会社の銀行口座開設で審査が厳しくなったり、取引先から信用を得られなかったりするケースが少なくありません。
また、設立後すぐに赤字になると債務超過に陥り、決算書の見栄えが悪化します。
そのため、事業を円滑にスタートさせるための最低限の信用と資金を担保する意味で、100万円程度は用意しておくのが賢明です。

フリーランスから法人成りするようなケースにも、この金額帯は適しています。

融資や信用を重視するなら資本金300万円以上が目安

事業を早期に成長させるために日本政策金融公庫などからの創業融資を検討している場合や、大手企業との取引を視野に入れている場合は、資本金300万円以上を目安に設定することをおすすめします。

多くの起業家がこの価格帯を選択しており、一つのスタンダードな金額と言えるでしょう。

金融機関は融資審査の際に、自己資金の額を非常に重視します。

資本金は客観的に証明できる自己資金の最たるものであり、その額が多いほど事業への本気度や計画性が高いと評価されます。

一般的に「自己資金の2倍から3倍」が融資額の目安とされるため、資本金を300万円に設定すれば、より大きな資金調達の可能性が広がります。
また、企業の信用情報を調査する際に資本金額は必ず確認される項目であり、300万円という額は対外的な信用力を示す上で一定の安心感を与える効果があります。

許認可や大きな事業展開なら資本金500万円以上を検討

特定の事業を始めるために法律で許認可が必要な場合、その許認可の要件として一定額以上の資本金(または自己資本)が定められていることがあります。

例えば、一般建設業の許可を得るには500万円以上の自己資本が必要ですし、一般労働者派遣事業では2,000万円以上の資産総額が求められます。
これらの事業を行う場合、資本金額の設定は選択肢ではなく必須要件となります。

また、許認可が不要な業種であっても、飲食店や小売店のように店舗の改装費や商品の仕入れに多額の初期投資が必要な場合や、最初から従業員を複数名雇用して事業を拡大したい場合には、500万円以上の潤沢な資本金を用意することが望ましいです。

十分な資本金は、予期せぬ出費にも耐えうる経営基盤の安定につながり、金融機関や取引先からの信頼をさらに強固なものにします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

株式会社を設立する際、資本金の額は会社の将来を左右する重要な要素です。

資本金が1円からでも設立できるようになった現在、いくらに設定すれば良いのか迷う方も少なくありません。

ここでは、代表的な資本金額である「100万円」「300万円」「1000万円」を軸に、それぞれの違いを比較検討します。

まずは、全体像を把握するために比較表で確認してみましょう。

資本金100万円 vs 300万円 vs 1000万円

比較項目資本金100万円資本金300万円資本金1000万円
信用力・融資最低限。取引や融資で不利になる可能性あり。一定の評価。創業融資の目安の一つ。高い信用力。高額融資や大手との取引で有利。
税金(消費税)原則、設立から最大2年間免税。原則、設立から最大2年間免税。設立1期目から課税事業者。
許認可多くの許認可で財産要件を満たせない。一部の許認可で要件を満たせない場合がある。多くの許認可で財産要件をクリア可能。

この比較表からも分かるように、資本金の額は「信用力」「税金」「許認可」の3つの観点で大きな違いを生み出します。

以下で、それぞれの項目について詳しく解説していきます。

信用力・融資の観点

資本金は、会社の「体力」や「事業への本気度」を示す指標として、取引先や金融機関から見られています。
いわば、会社の第一印象を決める「顔」のようなものです。

資本金100万円の場合、設立のハードルは低いですが、対外的な信用力も低いと判断されがちです。
「すぐに資金繰りが悪化するのではないか」という懸念を持たれ、新規取引や仕入れで不利な条件を提示される可能性があります。
また、日本政策金融公庫などの創業融資を申し込む際、自己資金の一部とは見なされますが、資本金の額自体が評価されることは少なく、融資審査で有利に働くことは期待しにくいでしょう。

資本金300万円の場合、多くの起業家が選択する一つの目安であり、一定の事業準備資金があると見なされます。
これにより、最低限の社会的信用を得やすくなります。
創業融資の審査においても、事業開始に必要な資金をある程度自己資金で賄っているという姿勢が評価され、審査に通りやすくなる傾向があります。

資本金1000万円の場合、これは非常に高い信用力の証明となります。
金融機関からは「多額の自己資金を準備できる計画性と財務基盤がある」と高く評価され、高額な融資を受けやすくなります。
また、大手企業との取引では、与信調査で資本金額が重視されることが多いため、ビジネスチャンスを広げる上で大きなアドバンテージとなるでしょう。

税金(消費税)の観点

資本金の額は、設立後の税金、特に消費税の納税義務に直接影響します。
これは会社のキャッシュフローに大きく関わるため、必ず理解しておくべきポイントです。

原則として、資本金が1000万円未満の法人は、設立から最大2事業年度、消費税の納税が免除される「免税事業者」になることができます。
つまり、資本金を100万円や300万円に設定した場合、この恩恵を受けられる可能性が高いです。

売上にかかる消費税を納める必要がないため、設立当初の資金繰りが厳しい時期において、手元に残る資金が多くなるという絶大なメリットがあります。
ただし、設立1期目の上半期(特定期間)の課税売上高と給与支払額がともに1000万円を超えた場合など、2期目から課税事業者になる例外規定も存在するため注意が必要です。

一方、資本金を1000万円以上に設定すると、設立1期目から自動的に「課税事業者」となり、消費税の納税義務が発生します
これは大きなデメリットとなり得ます。
例えば、売上が3000万円(税抜)の場合、単純計算で300万円の消費税を納める必要があり、キャッシュフローを圧迫する要因になります。
設備投資などで多額の仕入れがあり、支払った消費税の還付を受けたい場合(仕入税額控除)を除き、あえて設立時から課税事業者になるメリットは少ないと言えるでしょう。

許認可の観点

事業内容によっては、事業を開始する前に国や都道府県から「許認可」を得る必要があります。
この許認可の要件として、一定額以上の財産的基礎(自己資本や純資産額)が求められることが多く、資本金の額が直接的に関わってきます。

例えば、以下のような許認可では財産要件が定められています。

  • 一般建設業許可:自己資本が500万円以上であること
  • 有料職業紹介事業:純資産額が500万円以上であること
  • 一般労働者派遣事業:純資産額が2000万円以上であること

資本金が100万円や300万円の場合、これらの許認可を取得することはできません
将来的に許認可が必要な事業展開を考えているのであれば、設立時からその要件を満たす資本金を設定する必要があります。
一方で、飲食店営業許可や古物商許可など、資本金の額が要件とされていない許認可も多数存在します。

資本金を500万円以上に設定すれば、一般建設業許可や有料職業紹介事業の要件をクリアできます
このように、ご自身の事業計画に必要な許認可を事前にリサーチし、その要件を満たす資本金額を準備することが、スムーズな事業開始の鍵となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

2006年の会社法施行により、資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。
その中でも「キリが良いから」という理由で選ばれやすいのが資本金100万円です。

ここでは、資本金100万円で会社を設立する際の具体的なメリットと、知っておかなければならない重要な注意点を詳しく解説します。

メリット 設立ハードルが低い

資本金100万円で設立する最大のメリットは、起業時の自己資金の負担を大幅に軽減できる点です。

会社設立には、定款認証手数料や登録免許税などの法定費用だけで約20万円〜25万円の実費がかかります。
それに加えて資本金を用意する必要があるため、自己資金が潤沢でない創業者にとって、資本金の額は大きな課題となります。

資本金を100万円に設定することで、設立時に必要な現金の総額を抑えることが可能です。
これにより、IT系のサービスやコンサルティング、フリーランスからの法人成りなど、大きな初期投資を必要としないスモールビジネスを始めやすくなります。

まずは事業をスタートさせて、実績を作りながら徐々に自己資金を増やしていくという戦略を取る場合に適した金額と言えるでしょう。

注意点 資金ショートと信用の問題

設立のハードルが低い一方で、資本金100万円での起業には看過できない注意点が存在します。
特に「資金繰り」と「対外的な信用」の2つの側面で問題が生じやすいため、事前対策が不可欠です。

資金ショートのリスクが非常に高い

資本金は、会社設立直後の運転資金として機能します。
しかし、資本金100万円では、事業が軌道に乗る前に資金が枯渇する「資金ショート」のリスクが非常に高いと言わざるを得ません。
会社を設立すると、売上がなくても支出しなければならない費用(ランニングコスト)が発生します。

例えば、以下のような費用が設立直後からかかります。

費目金額の目安備考
事務所の契約初期費用30万円~60万円敷金・礼金・仲介手数料など(家賃6ヶ月分程度)
PC・オフィス家具など10万円~30万円事業に必要な最低限の備品
Webサイト制作費5万円~20万円自作や安価なサービスを利用した場合
月々の運転資金15万円~事務所家賃、通信費、広告宣伝費など

上記の表からも分かるように、事務所を借りて備品を揃えるだけで、資本金100万円の大半が消えてしまう可能性があります。
売上の入金サイクルが2ヶ月後といったケースも珍しくなく、その間の運転資金を確保できなければ、事業を継続すること自体が困難になります。
資本金の額を決める際は、少なくとも3ヶ月から6ヶ月分の運転資金を賄える額-mark>を基準に考えることが重要です。

対外的な信用力が低く見られがち

資本金の額は、会社の体力や事業への本気度を示す指標の一つとして、外部から見られています。
そのため、資本金100万円という金額は、以下のような場面で不利に働く可能性があります。

  • 金融機関からの融資
    日本政策金融公庫の新創業融資制度などを利用する際、自己資金の額は審査における重要なポイントです。資本金は自己資金の一部と見なされるため、100万円では融資希望額に対して自己資金要件を満たせない、あるいは事業への準備が不十分と判断され、審査に通りにくくなることがあります。
  • 取引先との与信
    特にBtoB(法人向け)のビジネスでは、新規取引を開始する際に相手企業の信用調査を行うのが一般的です。登記事項証明書(登記簿謄本)で資本金の額を確認された際、金額が低いと支払い能力に不安を持たれ、取引を見送られたり、現金取引を求められたりするケースがあります。
  • 人材の採用
    求職者も企業の安定性を判断する材料として資本金を見ています。資本金が極端に低いと「経営基盤が脆弱な会社ではないか」という印象を与え、優秀な人材の確保が難しくなる可能性があります。

このように、資本金100万円での設立は手軽である反面、設立後の事業運営において多くの壁に直面するリスクをはらんでいます。

なぜこの資本金額にしたのか、事業計画と合わせて合理的な説明ができるように準備しておくことが不可欠です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

株式会社設立時の資本金として、100万円と並んで多くの起業家が選択するのが300万円という金額です。
これは、設立のしやすさと事業運営の安定性のバランスが取れているためです。

ここでは、資本金300万円で会社を設立する具体的なメリットと、事前に把握しておくべき注意点を詳しく解説します。

メリット バランスが良く多くの起業家が選ぶ金額

資本金300万円は、スモールスタートの域を超え、事業を安定的に軌道に乗せるための現実的な選択肢として非常に優れています。

主なメリットは「信用力」「資金調達」「事業の安定性」の3つの観点から挙げられます。

対外的な信用力の向上

資本金は会社の体力や信頼性を示す指標の一つです。
資本金1円から設立できるとはいえ、100万円未満では取引先や金融機関から「事業に対する本気度が低い」「すぐに資金繰りが悪化するのではないか」といった懸念を持たれる可能性があります。
資本金が300万円あると、事業を継続していくための最低限の基盤が整っているという証明になり、新規取引の開始や金融機関との関係構築において有利に働くことが期待できます。

創業融資を有利に進められる

日本政策金融公庫の新創業融資制度などを利用する際、自己資金の額は非常に重要な審査項目です。
一般的に、自己資金の2〜3倍程度の融資が目安とされています。資本金として300万円を用意できれば、それを自己資金として提示することで、600万円から900万円程度の融資を受けられる可能性が出てきます。
これにより、設備投資や運転資金としてまとまった資金を確保し、事業のスタートダッシュを加速させることができます。

当面の運転資金を確保できる

会社を設立しても、すぐに売上が立つとは限りません。
売上が安定するまでの数ヶ月間は、家賃、人件費、仕入れ費用、広告宣伝費などの運転資金が出ていきます。
資本金が100万円の場合、事業計画に少しでも狂いが生じるとすぐに資金ショートに陥るリスクがあります。
300万円の資本金があれば、売上がゼロでも数ヶ月間は事業を継続できる体力を持つことができ、精神的な余裕を持って事業運営に集中できます。

注意点 業種によっては不十分な場合も

多くのメリットがある資本金300万円ですが、万能ではありません。

展開する事業の種類や規模によっては、300万円では不足するケースも存在します。

特定の許認可が取得できない

事業を行うために国や都道府県の許認可が必要な業種では、財産的基礎として一定額以上の資本金(または自己資本)が要件として定められている場合があります。
資本金300万円では、これらの要件を満たせない可能性があります。

許認可の種類必要な財産的基礎(自己資本額)資本金300万円での可否
一般建設業許可500万円以上不可
一般労働者派遣事業2,000万円以上不可
有料職業紹介事業500万円以上不可

これらの許認可が必要な事業を計画している場合は、設立当初から要件を満たす資本金を用意する必要があります。

初期投資が大きい事業には不足

飲食店や小売店のように店舗の改装や内装工事が必要な事業、高額な製造機械やIT機器を導入する事業、あるいはまとまった量の在庫を最初に仕入れる必要がある物販業など、初期投資(イニシャルコスト)が高額になるビジネスモデルでは、300万円では不十分です。
運転資金が残らず、開業直後から資金繰りに窮する事態になりかねません。
事業計画の段階で、必要な設備資金と3〜6ヶ月分の運転資金を正確に見積もり、それをカバーできる資本金を設定することが重要です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

資本金を1000万円に設定することは、事業の本格的なスタートを内外に示す強力なメッセージとなります。

大きな資金を投じることで得られるメリットは計り知れませんが、同時に税務上の注意点も生じます。

ここでは、資本金1000万円がもたらす影響を多角的に解説します。

メリット 高い信用力と資金力

資本金1000万円という金額は、会社の財務基盤が強固であることの証明です。
これにより、金融機関や取引先からの信用を獲得しやすくなり、事業運営における様々な場面で有利に働きます。

対外的な信用力の向上

会社の信用力は、円滑な事業活動に不可欠です。
資本金1000万円は、その信用力を大きく高める効果があります。

  • 金融機関からの融資:日本政策金融公庫の新創業融資制度などを利用する際、自己資金要件を満たしやすくなります。また、民間の金融機関からプロパー融資(信用保証協会の保証を付けない融資)を受ける際にも、潤沢な自己資本は審査で非常に有利な材料と評価されます。
  • 取引先との関係構築:特に大企業と取引を開始する場合、与信調査が行われることが一般的です。資本金が1000万円あることで、支払い能力や経営の安定性に対する信頼を得やすくなり、新規取引のハードルが下がります。
  • 人材採用:求職者にとって、会社の安定性は重要な判断基準です。十分な資本金があることは、経営基盤がしっかりしているという安心感を与え、優秀な人材の確保につながりやすくなります。

潤沢な初期資金の確保

設立当初は売上が安定しない期間が続くことも少なくありません。
資本金1000万円は、そうした時期を乗り越えるための強力な支えとなります。

  • 資金ショートのリスク低減:設立後の運転資金(人件費、家賃、広告宣伝費など)を十分に確保できるため、短期的なキャッシュフローの悪化に耐えうる経営体力を持つことができます。これにより、事業計画に集中しやすくなります。
  • 大規模な設備投資:事業に必要な高額な機械やソフトウェア、内装工事といった設備投資を、融資に頼らず自己資金で賄うことも可能です。これにより、スピーディーな事業展開が実現できます。

注意点 消費税の課税と法人住民税均等割

資本金1000万円には大きなメリットがある一方、税制面で知っておくべき重要な注意点が存在します。
特に消費税と法人住民税への影響は、資金計画に直接関わるため、設立前に必ず理解しておく必要があります。

消費税の納税義務が発生

会社設立における最大の注意点の一つが消費税です。資本金の額によって、設立初年度からの納税義務の有無が決まります。

通常、資本金1000万円未満で設立された法人は、原則として設立から2年間は消費税の納税が免除される「免税事業者」となります。
しかし、資本金が1000万円以上の場合は、設立1期目から自動的に「課税事業者」となり、消費税を納める義務が生じます。

例えば、売上が1100万円(うち消費税100万円)、経費が550万円(うち消費税50万円)だった場合、差額の50万円を国に納付する必要があります。
免税事業者であればこの納税義務がないため、キャッシュフローに大きな違いが生まれることを念頭に置かなければなりません。

法人住民税均等割の税額増加

法人住民税の「均等割」は、会社の所得(利益)が赤字であっても、資本金の額と従業員数に応じて課される税金です。
この均等割の税額は、資本金が1000万円を「以下」か「超える」かで大きく変わります。

資本金が1000万円ちょうどであれば低い税率区分ですが、1円でも超えて1000万1円になると、税額が跳ね上がります。

以下は、従業員50人以下の場合の東京都23区内における法人住民税均等割の年額比較です。

資本金等の額法人住民税均等割(年額)
1000万円以下70,000円
1000万円超 1億円以下180,000円

このように、資本金を1000万円にするか、1001万円にするかで、毎年支払う税金が11万円も変わってきます。
特別な理由がない限り、資本金を1000万円「超」に設定するメリットは少ないため、大きな金額を設定する際は1000万円ちょうどにすることをおすすめします。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

ここまで資本金の金額によるメリット・デメリットを比較してきましたが、「結局、自分の会社はいくらにすれば良いのか?」と悩んでいる方も多いでしょう。

闇雲に金額を決めてしまうと、後で資金繰りに窮したり、余計な税金を支払うことになったりする可能性があります。

ここでは、あなたにとって最適な資本金額を導き出すための、具体的で実践的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1 事業計画から必要な資金を算出する

資本金の最も重要な役割は、会社設立直後の事業を支える「運転資金」です。

会社を設立しても、すぐに売上が立つとは限りません。売上が安定するまでの間、事業を継続していくための体力が資本金なのです。

まずは、事業計画を基に必要な資金を具体的に算出しましょう。

計算すべき費用は、大きく分けて「初期費用」と「運転資金」の2つです。

  1. 初期費用(イニシャルコスト):事業を開始するために一度だけ必要となる費用です。
    • 会社設立費用(定款認証代、登録免許税など)
    • 事務所や店舗の契約費用(保証金、敷金、礼金など)
    • 内装工事費
    • PC、デスク、電話などの什器・備品購入費
    • Webサイト制作費
    • 商品の仕入れ費用
  2. 運転資金(ランニングコスト):事業を継続していくために毎月必要となる費用です。
    • 事務所や店舗の家賃
    • 役員報酬や従業員の給与
    • 水道光熱費、通信費
    • 広告宣伝費
    • 仕入れ費用
    • その他諸経費

これらの費用を洗い出し、「初期費用」と「最低3ヶ月分の運転資金」の合計額を資本金の一つの目安とすることをおすすめします。

理想を言えば、6ヶ月分の運転資金を準備できると、より安心して事業の立ち上げに集中できるでしょう。
この計算は、事業計画書を作成する過程で自然と明確になります。

ステップ2 創業融資や許認可の要件を確認する

自己資金だけで事業を運営するのが難しい場合、外部からの資金調達や、事業内容に応じた許認可の取得が必要になります。
これらは資本金の額が直接影響する重要なポイントです。

創業融資を有利に進めるための資本金

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」など、多くの創業融資では「自己資金要件」が重視されます。
自己資金とは、返済義務のない自分自身のお金のことで、資本金はその中核をなすものです。

例えば、融資希望額に対して一定割合(例:10分の1以上)の自己資金を求められるケースが多くあります。
資本金が多いということは、それだけ事業に対する準備と覚悟があることの証明となり、金融機関からの信用度を高め、融資審査を有利に進める効果が期待できます。
融資の活用を考えている場合は、希望する融資額から逆算して資本金額を検討することも有効な手段です。

事業に必要な許認可の資本金要件

特定の業種で事業を行うためには、国や都道府県から「許認可」を得る必要があります。
この許認可の中には、財産的基礎として一定額以上の資本金(または自己資本、純資産)が要件として定められているものがあります。

以下に主な許認可の資本金要件の例を挙げます。

業種許認可の種類財産的基礎の要件(例)
建設業一般建設業許可500万円以上の自己資本(資本金を含む)があること
人材派遣業一般労働者派遣事業許可資産総額から負債総額を引いた額が2,000万円以上であること
旅行業第一種旅行業登録基準資産額が3,000万円以上であること

これらの要件を満たしていなければ、そもそも事業を始めることができません。
ご自身の事業に必要な許認可がないか、そしてその要件は何かを、必ず事前に管轄の行政機関に確認してください。

ステップ3 税務上の影響を考慮して最終決定する

資本金の額は、支払う税金の額にも影響を与えます。
特に「消費税」と「法人住民税」については、設立前に必ず理解しておくべきです。

知らずに損をしないよう、税務上のメリットを最大限に活用しましょう。

消費税の免税メリット

原則として、資本金1,000万円未満で会社を設立すると、設立1期目と2期目の消費税の納税が免除されます(※特定期間の課税売上高など、他の要件を満たす必要があります)。
これは新設法人にとって非常に大きなメリットです。

例えば、年間売上1,100万円(うち消費税100万円)の場合、この100万円を納税する必要がなくなります。

特別な理由がない限り、多くの企業がこのメリットを享受するために資本金を1,000万円未満に設定します。
ただし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始に伴い、免税事業者であっても「適格請求書発行事業者」として登録した場合は、消費税の納税義務が発生するため注意が必要です。

法人住民税(均等割)の負担

法人住民税の「均等割」は、事業が赤字であっても必ず支払わなければならない税金です。
この均等割の金額は、資本金の額と従業員数によって区分されています。

例えば、東京都23区内の場合、税額は以下のようになります。

資本金等の額従業員数法人住民税 均等割(年額)
1,000万円以下50人以下7万円
1,000万円超 1億円以下50人以下18万円

このように、資本金が1,000万円を超えるだけで、法人住民税の均等割が年間11万円も増加します。

消費税の免税メリットと合わせても、資本金を1,000万円にするか999万円にするかで、税負担に大きな差が生まれることを覚えておきましょう。

株式会社設立時の最適な資本金額は、事業計画によって大きく異なります。

100万円は設立のハードルが低いですが、信用面で注意が必要です。300万円はバランスが良く、1000万円は高い信用力を得られる一方、消費税の課税対象となる可能性があります。

資本金は会社の信用力、融資、税金、許認可に直結する重要な要素です。

記事で解説した3つのステップを参考に、ご自身の事業に合った金額を慎重に決定してください。

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