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【知らないと損】資本金が多い・少ないメリット・デメリットを完全解説!決め方のポイントとは?

会社設立時の資本金、「1円でも良い」と聞いて安易に決めていませんか?

実は資本金の額は、会社の信用度や金融機関からの融資、さらには税負担まで左右する極めて重要な要素です。

資本金は多ければ良いという単純な話ではなく、事業計画に合わせた戦略的な設定が失敗しない会社経営の鍵となります。

本記事では、資本金が多い場合と少ない場合のメリット・デメリットを徹底比較し、あなたの会社に最適な金額を決めるための具体的な5つのポイントを分かりやすく解説します。

この記事を読めば、後悔しない資本金設定のすべてが分かります。

資本金とは、会社を設立し事業を運営していくための「元手」となる資金のことです。

創業者や投資家などの株主が会社に対して出資したお金であり、会社の体力や規模を示す重要な指標の一つとされています。

会社の登記事項証明書(登記簿謄本)にも記載されるため、誰でもその金額を確認できます。

この資本金は、主に会社設立直後の運転資金として活用されます。例えば、事務所の家賃、パソコンなどの備品購入費、従業員の給与、仕入れ費用など、売上が安定して入ってくるまでの間の費用を賄うために使われます。

つまり、資本金は会社が事業をスタートさせ、軌道に乗せるまでの生命線とも言える非常に大切な役割を担っているのです。

会社法改正で変わった資本金1円制度

かつて、会社を設立するには最低資本金制度というルールがありました。

2006年に施行された会社法以前の旧商法では、株式会社を設立するためには最低でも1,000万円、有限会社(現在は新規設立不可)では300万円の資本金が必要でした。
これは、起業を目指す多くの人にとって大きなハードルとなっていました。

しかし、会社法の改正によってこの最低資本金制度は撤廃され、現在では理論上、資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。
これにより、誰でも少ない自己資金で法人を設立し、ビジネスに挑戦できる環境が整ったのです。

ただし、注意点として、資本金1円での設立は現実的ではありません。
なぜなら、会社設立には定款認証手数料や登録免許税といった法定費用だけで最低でも20万円程度がかかります。

資本金が1円では、これらの設立費用すら賄えず、設立直後から会社が債務超過状態に陥ってしまうためです。

資本金1円制度は、あくまで「法律上可能」というだけで、実際の事業運営を考えると適切な金額設定が不可欠です。

資本金の平均額と中央値はいくら?

これから会社を設立する方にとって、他の会社がどれくらいの資本金で始めているのかは気になるところでしょう。

公的な統計データによると、新規設立される会社の資本金で最も多い価格帯は「100万円以上300万円未満」です。

かつての有限会社の最低資本金額であった300万円が一つの目安として、現在でも多くの起業家に意識されていることがわかります。

資本金の平均額は約300万円前後と言われることが多いですが、これは一部の大きな資本金を持つ会社が平均値を引き上げている可能性があります。

より実態に近い数値として「中央値」を見ると、100万円程度となるケースも少なくありません。

まずはスモールスタートを切りたいと考える起業家が多いことの表れと言えるでしょう。

以下に、資本金の金額帯ごとの一般的な特徴をまとめました。

ご自身の事業計画と照らし合わせながら、最適な資本金額を考える参考にしてください。

資本金の額割合の目安主な特徴
100万円未満比較的少数個人事業主からの法人成りなど、スモールスタート向け。ただし、信用面や資金繰りには注意が必要。
100万円~300万円未満最多多くのスタートアップ企業が選択する現実的な金額。当面の運転資金を確保しつつ、設立コストを抑えられる。
300万円~1,000万円未満多い対外的な信用力も意識した設定。金融機関からの融資や、ある程度の規模の取引を当初から見込む場合に有利。
1,000万円以上少数高い社会的信用度を得られる。許認可事業や大規模な初期投資が必要な場合に選択されるが、税制上のデメリットも考慮が必要。

このように、資本金は会社の「顔」とも言える重要な要素です。

次の章からは、資本金が多い場合と少ない場合の具体的なメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社の設立を考える際、多くの経営者が悩むのが資本金の額です。

資本金は会社の体力や信用力を示す重要な指標であり、多く設定することには多くの利点があります。
しかし、その一方で無視できないデメリットも存在します。

ここでは、資本金を多く設定した場合のメリットとデメリットを具体的に掘り下げて解説します。

資本金が多い場合のメリット4選

資本金を潤沢に準備することで、事業のスタートダッシュを有利に進め、その後の経営を安定させるための強固な土台を築くことができます。

主なメリットとして、以下の4点が挙げられます。

社会的信用力が高まり取引が有利になる

資本金の額は、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)に記載され、誰でも閲覧が可能です。
そのため、資本金の多さは、その会社の経済的な体力や事業に対する本気度を示す客観的な指標と見なされます。
特に、まだ取引実績のない新しい会社にとっては、信用力を補完する重要な「顔」となります。

信用力が高まることで、以下のような具体的なメリットが期待できます。

  • 大手企業との新規取引を開始しやすくなる
  • 取引先からの与信審査(支払い能力の審査)をクリアしやすくなる
  • 仕入れや外注の際の支払い条件(掛け払いなど)で有利な交渉ができる可能性がある
  • オフィスや店舗を借りる際の入居審査に通りやすくなる

企業のウェブサイトに「資本金〇〇円」と記載するだけでも、取引先や顧客に安心感を与え、ビジネスチャンスを広げる効果があります。

金融機関からの融資を受けやすくなる

事業を拡大していく上で、金融機関からの融資は不可欠な要素です。
資本金が多い会社は、融資審査において有利に働く傾向があります。

金融機関は融資の可否を判断する際、返済能力を厳しく審査します。
その際、資本金は「自己資金の額」や「財務基盤の安定性」を測る重要な判断材料となります。
特に、日本政策金融公庫などの創業融資では、準備した自己資金(資本金)の額が融資可能額に大きく影響することが一般的です。
十分な資本金を用意できるということは、経営者が計画的に資金を準備してきた証であり、事業への熱意や責任感の表れと評価されるのです。

資本金が多いことで、返済能力が高いと判断され、希望額の融資を受けやすくなったり、より良い条件での借り入れが可能になったりするケースがあります。

事業に必要な許認可が取得しやすくなる

特定の業種で事業を行うためには、国や都道府県から「許認可」を得る必要があります。
この許認可の中には、取得要件として一定額以上の資本金(または純資産額)が定められているものがあります。

例えば、以下のような許認可では財産的基礎が要件とされています。

許認可の種類主な財産要件の例
建設業許可(一般)自己資本の額が500万円以上であること 等
一般労働者派遣事業許可資産総額から負債総額を引いた基準資産額が2,000万円以上であること 等
有料職業紹介事業許可資産総額から負債総額を引いた基準資産額が500万円以上であること 等

これらの事業を始めたいと考えている場合、設立当初から許認可の要件を満たす資本金を設定しておくことで、スムーズに事業を開始できます。
後から増資することも可能ですが、手続きに時間と費用がかかるため、あらかじめ計画しておくことが重要です。

手元資金が潤沢で経営が安定する

設立時に払い込まれた資本金は、そのまま会社の運転資金となります。
事業を開始しても、すぐに売上が入金されるとは限りません。むしろ、多くの事業では、売上が安定して入ってくるまでの数ヶ月間は、経費の支払いが先行するキャッシュアウトの状態が続きます。

資本金が多ければ、この創業初期の資金繰りが苦しい時期を乗り越えやすくなります
仕入れ費用、人件費、事務所の家賃、広告宣伝費などの支払いに余裕が生まれ、資金ショート(資金不足)に陥るリスクを大幅に軽減できます。
また、予期せぬトラブルや急な出費が発生した場合でも対応できるため、精神的な余裕を持って経営に集中できるというメリットもあります。

資本金が多い場合のデメリット2選

多くのメリットがある一方で、資本金を多く設定することには金銭的な負担が伴うデメリットも存在します。

特に、資金調達と税金面での影響は設立前に必ず理解しておくべきポイントです。

設立時に多額の自己資金が必要になる

これは最も直接的なデメリットです。
資本金は、原則として会社を設立する発起人(創業者)が自身の預金などから用意しなければなりません。
資本金を1,000万円に設定する場合、当然ながら1,000万円の現金を準備する必要があります。

起業への意気込みから、見栄を張って過度に高い資本金を設定しようと考える人もいるかもしれません。
しかし、事業資金だけでなく個人の生活資金まで投じてしまうと、設立後の生活が立ち行かなくなるリスクがあります。
事業計画に基づいて必要な額を冷静に算出し、無理のない範囲で資本金額を決めることが肝心です。

法人住民税や消費税の負担が増える可能性がある

税金面での負担増は、資本金額を決める上で非常に重要なポイントです。
特に「資本金1,000万円の壁」は必ず意識しておく必要があります。

法人住民税(均等割)
法人住民税の「均等割」は、会社が赤字であっても必ず支払わなければならない税金です。
この均等割の税額は、資本金の額と従業員数によって区分されています。
多くの自治体では、資本金が1,000万円以下の場合と1,000万円を超える場合で税額が大きく変わります。

資本金等の額従業員数50人以下従業員数50人超
1,000万円以下7万円14万円
1,000万円超 1億円以下18万円20万円

このように、資本金が1,000万円を超えただけで、最低でも年間11万円の税負担が増えることになります。

消費税
もう一つの大きな影響が消費税です。
資本金1,000万円未満で会社を設立した場合、原則として設立1期目と2期目の消費税の納税が免除されます(※)。
これを「免税事業者」の特例といいます。
しかし、資本金を1,000万円以上に設定すると、この特例は適用されません。
設立1期目から「課税事業者」となり、売上にかかる消費税を納める義務が発生します。
創業初期のキャッシュフローが厳しい時期に、この納税負担は経営の大きな足かせとなる可能性があります。

(※特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるなど、他の要件によっては2期目から課税事業者になる場合があります。)

これらの税負担を考慮すると、明確な理由がない限り、資本金を1,000万円以上に設定するのは慎重に判断すべきと言えるでしょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

2006年の会社法改正により、最低資本金制度が撤廃され、理論上は資本金1円からでも株式会社を設立できるようになりました。
この手軽さは多くの起業家にとって大きな魅力ですが、資本金が少ないことにはメリットだけでなく、見過ごせないデメリットも存在します。

ここでは、資本金を少なく設定した場合の光と影を詳しく解説します。

資本金が少ない場合のメリット2選

まずは、資本金を少なく設定することで得られるメリットを見ていきましょう。

特に、スピーディーな起業や設立当初のコスト削減を重視する方にとっては、大きな利点となります。

少ない資金でスピーディーに会社を設立できる

資本金が少ないことの最大のメリットは、自己資金が潤沢でなくても、迅速に法人格を取得し事業をスタートできる点です。
多額の資本金を準備するための時間や手間が不要になるため、ビジネスチャンスを逃さず、思い立ったタイミングで起業に踏み切れます。

個人事業主からの法人成りや、まずは小さく事業を始めたいスモールスタートアップにとって、この設立ハードルの低さは非常に魅力的です。
会社設立には、定款認証手数料や登録免許税といった法定費用が別途必要になりますが、資本金という大きな準備金を気にしなくて良いだけで、精神的・金銭的な負担は大幅に軽減されるでしょう。

設立初年度の税負担を軽減できる

資本金の額は、法人税などの税負担に直接影響します。
資本金を低く設定することで、特に設立初年度から2年間の税制面で有利になる可能性があります。

具体的には、主に「消費税」と「法人住民税」の2つの税金でメリットを享受できます。

  • 消費税の納税免除
    資本金1,000万円未満で会社を設立した場合、原則として設立1期目と2期目の消費税の納税が免除されます。
    課税売上が発生したとしても、預かった消費税を納める必要がないため、その分が会社の利益となり、資金繰りに大きな余裕が生まれます。
    これは、設立当初のキャッシュフローが厳しい時期において、非常に大きなメリットと言えます。
  • 法人住民税(均等割)の軽減
    法人住民税は、利益に応じて課税される「法人税割」と、会社の規模に応じて定額で課税される「均等割」で構成されています。
    この「均等割」は、たとえ赤字であっても支払わなければならない税金です。
    税額は資本金の額と従業員数によって決まり、資本金が少ないほど税額も低く抑えられます。

以下の表は、東京都23区内における法人住民税(均等割)の年額の一例です。

資本金が1,000万円を超えるかどうかで、税額に差が出ることがわかります。

資本金等の額法人都民税(均等割)法人市町村民税(均等割)合計年額
1,000万円以下20,000円50,000円70,000円
1,000万円超 1億円以下50,000円130,000円180,000円

このように、資本金を1,000万円未満に設定することで、設立初期の税負担を最小限に抑え、手元資金を事業投資に回すことが可能になります。

資本金が少ない場合のデメリット3選

手軽に設立できる一方で、資本金が少ないことには事業運営において足かせとなり得る重大なデメリットが潜んでいます。

安易に低い資本金で設立すると、後々大きな問題に直面する可能性があります。

社会的信用力が低く見られがち

資本金の額は、登記事項証明書(登記簿謄本)や会社のウェブサイトで誰でも確認できる情報です。
そして、多くの企業は取引先を評価する際、この資本金の額を「会社の体力」や「事業への本気度」を測る一つの指標として見ています。

資本金が1円や数万円など極端に少ない場合、「経営基盤が脆弱な会社」「すぐに倒産してしまうのではないか」といったネガティブな印象を与えかねません
その結果、以下のような不利益を被る可能性があります。

  • 新規の取引を断られる
  • 大手企業との契約が難しくなる
  • 掛け売り(与信取引)に応じてもらえない
  • 優秀な人材の採用が難しくなる

特にBtoB(企業間取引)を主軸とする事業の場合、資本金の額が信用力に直結するケースが多いため、慎重な判断が求められます。

融資審査で不利になるケースがある

事業を拡大していく上で、金融機関からの融資は不可欠な選択肢です。
しかし、資本金が少ないと、この融資審査で不利に働くことがあります。

金融機関は融資審査の際、事業計画の妥当性や将来性に加えて、「自己資金の額」を非常に重視します。
資本金は、その自己資金の中核をなすものであり、経営者がどれだけのリスクを負って事業に取り組んでいるかを示す指標と見なされます。

資本金が少ないということは、自己資金が少ない、あるいは事業へのコミットメントが低いと判断される一因になり得ます。
特に日本政策金融公庫などの創業融資では、融資希望額に対して一定割合(例えば3分の1程度)の自己資金を求められることが一般的です。
資本金1円で設立した場合、実質的に自己資金ゼロと見なされ、融資のハードルが格段に上がってしまうリスクがあるのです。

資金ショートを起こしやすく債務超過のリスクも

資本金は、会社設立直後の運転資金として機能します。売上がまだ立たない、あるいは入金サイクルが長い時期でも、家賃や人件費、仕入れ代金などの支払いは待ってくれません。
資本金は、こうした支出を賄い、事業が軌道に乗るまでの「体力」そのものです。

資本金が乏しいと、少しでも売上の入金が遅れたり、予期せぬ出費が発生したりしただけで、あっという間に資金ショート(手元資金が枯渇する状態)に陥る危険性があります。

さらに深刻なのが「債務超過」のリスクです。
債務超過とは、会社の負債総額が資産総額を上回る状態を指します。
資本金は純資産の一部であるため、事業で赤字が累積し、その額が資本金を上回ると債務超過に陥ります。
例えば、資本金10万円の会社が11万円の赤字を出せば、その時点で債務超過です。
債務超過は金融機関からの信用を完全に失い、追加融資は絶望的になるだけでなく、倒産の引き金にもなりかねない非常に危険な状態なのです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社の基盤となる資本金をいくらに設定するかは、会社設立における最も重要な意思決定の一つです。

多すぎても少なすぎてもデメリットがあるため、ここで紹介する5つのポイントを総合的に考慮し、自社にとって最適な金額を導き出しましょう。

ポイント1 事業開始に必要な初期費用を計算する

まず、事業をスタートさせるために最低限必要な「初期費用(イニシャルコスト)」を正確に洗い出すことが第一歩です。
これらの費用を自己資金で賄えない場合、事業のスタートラインに立つことすら難しくなります。

具体的にどのような費用がかかるのか、以下の表を参考にリストアップしてみましょう。

費用の種類具体例
設備投資費パソコン、デスク、椅子、複合機、業務用ソフトウェア、社用車、専門機器など
物件取得費事務所や店舗の敷金、礼金、保証金、仲介手数料、前払家賃、内装工事費など
会社設立費用定款認証手数料、登録免許税、司法書士や行政書士への報酬など
その他広告宣伝費、Webサイト制作費、名刺やパンフレットの印刷費、事務用品の購入費など

これらの項目を一つひとつリストアップし、漏れなく合計金額を算出することが、資本金決定の基礎となります。

特に、店舗やオフィスを構える場合は物件取得費が高額になる傾向があるため、入念な見積もりが必要です。

ポイント2 最低3ヶ月分の運転資金を確保する

会社設立直後は、売上がすぐに入金されるとは限りません。

売上がゼロでも、家賃や人件費などの固定費は毎月発生します。
この期間を乗り切るために不可欠なのが「運転資金」です。

多くの企業が設立初期に資金繰りに窮する現実を踏まえ、資本金には初期費用だけでなく、当面の運転資金も含めておくべきです。

一般的に、事業が軌道に乗り、キャッシュフローが安定するまでには3ヶ月から6ヶ月かかると言われています。
そのため、最低でも3ヶ月分の運転資金を資本金として準備することをおすすめします。

運転資金は、以下の計算式で概算できます。

(1ヶ月あたりの固定費 + 1ヶ月あたりの変動費) × 3ヶ月 = 必要な運転資金の目安

  • 固定費:家賃、人件費(給与)、水道光熱費、通信費、リース料など、売上に関わらず発生する費用
  • 変動費:商品の仕入費、材料費、外注費、広告宣伝費など、売上に応じて変動する費用

初期費用と3ヶ月分の運転資金を合計した額が、設立時に目標とすべき資本金の一つの目安となります。

手元資金に余裕を持つことが、精神的な安定にもつながり、事業に集中できる環境を作ります。

ポイント3 受ける融資や助成金の要件を確認する

自己資金だけでは事業資金が不足する場合、金融機関からの融資や国・自治体の助成金を活用することになります。
これらの制度の中には、資本金の額が審査や採択の要件に影響を与えるものがあるため、注意が必要です。

特に、創業者にとって心強い味方である日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、自己資金の要件が定められています。

具体的には「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」といった基準があり、資本金はこの自己資金の最も明確な証明となります。

資本金の額は、自己資金の額、ひいては経営者の本気度を示す指標と見なされ、融資希望額の妥当性や返済能力を判断する上での重要な要素となります。

融資担当者は、資本金の額を見て「どれだけ準備をしてきたか」「事業に対するリスクをどれだけ負っているか」を判断します。

資本金が極端に少ないと、事業計画への信頼性が低いと見なされ、審査で不利になる可能性があります。

利用を検討している融資や助成金がある場合は、必ず事前に公式サイトや窓口で要件を確認し、それを満たす資本金額を設定しましょう。

ポイント4 取得したい許認可の基準を調べる

特定の業種で事業を行うためには、国や都道府県から「許認可」を得る必要があります。
この許認可の取得要件として、「財産的基礎(資産要件)」が定められている場合があります。
これは、事業を安定して継続できるだけの財務基盤があるかを示すもので、多くの場合、自己資本の額(資本金も含まれます)で判断されます。

許認可の資産要件を満たせない場合、そもそも事業を合法的に開始することができません。
そのため、許認可が必要な業種での起業を考えている方は、何よりも優先してこの基準を確認する必要があります。

以下に主な許認可とその資産要件の例を挙げます。

許認可の種類主な資産要件(一例)
建設業許可(一般)自己資本の額が500万円以上であること。または、500万円以上の資金調達能力があること。
労働者派遣事業許可基準資産額(資産総額-負債総額)が2,000万円以上であること。かつ、現預金の額が1,500万円以上であること。
旅行業許可(第1種)基準資産額が3,000万円以上であること。
有料職業紹介事業許可基準資産額が500万円以上であること。かつ、現預金の額が150万円以上であること。

これらの要件は、あくまで一例です。必ず自社が取得を目指す許認可の最新の要件を、管轄の行政庁に確認してください。

ポイント5 資本金1000万円の壁を意識して節税する

資本金の額は、税金の負担額にも直接影響します。特に重要なのが「資本金1000万円の壁」です。

資本金を1000万円以上にするか、未満にするかで、主に「消費税」と「法人住民税」の扱が大きく変わります。

消費税の納税義務

資本金1000万円未満で会社を設立した場合、原則として設立から最大2事業年度は消費税の納税が免除されます。
これは、設立間もない企業の負担を軽減するための特例です。
一方、資本金を1000万円以上に設定すると、設立1年目から消費税の課税事業者となり、納税義務が発生します。
売上がまだ少ない設立初期において、この差はキャッシュフローに大きな影響を与えます。

法人住民税(均等割)の税額

法人住民税の「均等割」は、会社の利益に関わらず(つまり赤字でも)支払わなければならない税金です。
この税額は、資本金の額と従業員数によって段階的に設定されています。

例えば、東京都23区内に事務所を置く場合、税額は以下のようになります。

資本金等の額法人住民税均等割(年額)
1000万円以下7万円
1000万円超 1億円以下18万円

このように、資本金が1000万円を超えただけで、均等割の負担は年間11万円も増加します。
社会的信用力や融資など、特別な理由がない限り、資本金を1000万円未満(例えば990万円や999万円)に設定することは、賢い節税戦略と言えるでしょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

資本金の額は、会社の信用力や体力に直結するため、事業内容によって最適な金額が大きく異なります。

ここでは、代表的な業種を例に、資本金の目安と考え方を解説します。

ご自身の事業計画と照らし合わせながら、適切な資本金額を検討しましょう。

IT・コンサルティング業

IT・コンサルティング業は、パソコンやソフトウェアがあれば開業できるため、店舗や大型設備、在庫を必要とする業種に比べて初期投資を抑えられるのが特徴です。
そのため、比較的少ない資本金で会社を設立するケースが多く見られます。

しかし、取引先が法人(BtoB)の場合、企業の信用力が契約の可否を左右する重要な要素となります。

資本金が極端に少ないと、支払い能力や事業継続性に不安を抱かれ、取引の機会を逃す可能性も否定できません。
また、優秀なエンジニアの採用や広告宣伝費、外注費など、事業を拡大していくフェーズではまとまった運転資金が必要になります。

これらの点を踏まえ、事業のフェーズや目標に応じて資本金額を設定することが賢明です。

事業フェーズ資本金の目安主な目的・考慮点
個人事業主からの法人成り・スモールスタート10万円~100万円まずは法人格を取得し、事業をスタートさせることを最優先。設立費用を抑えたい場合に適しています。
BtoB取引が中心・信用度を重視100万円~300万円取引先からの信用を得やすくするため、ある程度の資本金を設定。会社の「顔」としての役割を意識します。
将来的な融資や人材採用を視野に入れる300万円以上金融機関からの融資審査や、求職者に対する安心感を考慮。事業拡大に向けた体力があることを示す重要な指標となります。

飲食・小売業

飲食業や小売業は、事業を開始するために店舗の確保が不可欠です。

店舗の保証金や内装工事費、厨房設備やPOSレジの導入、商品の仕入れなど、多額の初期投資(イニシャルコスト)が発生するのが一般的です。

さらに、開業後すぐに売上が安定するとは限らないため、数ヶ月分の運転資金も準備しておく必要があります。

具体的には、家賃、人件費、水道光熱費、仕入れ費用といった固定費・変動費を合算し、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月分の運転資金を資本金に含めておくのが理想です。

日本政策金融公庫などの創業融資を利用する場合でも、自己資金の額は審査における重要な評価ポイントとなります。

資本金は自己資金の核となるため、融資を有利に進めるためにも余裕を持った設定が求められます。

項目費用の目安(小規模店舗の例)備考
【初期費用】
物件取得費(保証金など)
100万円~300万円家賃の6~10ヶ月分が一般的です。
【初期費用】
内装・外装工事費
150万円~500万円居抜き物件かスケルトン物件かで大きく変動します。
【初期費用】
厨房・店舗設備費
100万円~300万円新品か中古か、リースを利用するかで変動します。
【運転資金】
(家賃・人件費・仕入費など)×3~6ヶ月分
150万円~400万円売上がなくても事業を継続できる生命線です。余裕を持った確保が不可欠です。
合計目安500万円~1500万円この合計額を参考に、自己資金と融資のバランスを考えて資本金額を決定します。

建設・不動産業

建設業や不動産業は、法律によって事業を行うための許認可や免許制度が定められており、その取得要件に財産的基礎が関わってくる点が最大の特徴です。
また、取引額が大きくなる傾向があるため、企業の信用力が特に重視されます。

建設業の場合

建設業を営むには、一部の軽微な工事を除き「建設業許可」が必要です。
この許可には「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2種類があり、特に一般建設業許可の取得要件として、「自己資本の額が500万円以上であること」が定められています。
この「自己資本」には資本金が含まれるため、許可取得をスムーズに進めるために資本金を500万円以上で設立するケースが非常に多くなっています。
公共事業の入札に参加する場合、経営事項審査(経審)において資本金の額も評価項目の一つとなるため、対外的な信用力を示す上でも重要な意味を持ちます。

不動産業の場合

不動産業(宅地建物取引業)を営むには、宅地建物取引業免許が必要です。
免許取得にあたり、資本金に直接の金額要件はありません。
しかし、本店に1,000万円の「営業保証金」を法務局へ供託するか、または保証協会に加入して60万円の「弁済業務保証金分担金」を納付する必要があります。
どちらを選択するにせよ、事業開始にはまとまった資金が必要となるため、それを賄えるだけの資金力があることを示す意味でも、資本金を300万円~1000万円程度に設定する企業が一般的です。

業種必要な許認可・免許主な資金要件と資本金の目安
建設業建設業許可(一般)【要件】自己資本500万円以上
【資本金目安】許可要件を満たすため500万円以上で設立するのが一般的。
不動産業宅地建物取引業免許【要件】営業保証金1,000万円の供託、または保証協会へ分担金60万円を納付
【資本金目安】直接の要件はないが、信用力と資金準備のため300万円~1000万円が目安。
会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社の資本金について、多くの方が抱く疑問にQ&A形式でお答えします。

会社設立後や会計上の取り扱いなど、重要なポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

資本金は後から変更できますか?

はい、会社設立後でも資本金を変更することは可能です。
資本金を増やすことを「増資」、減らすことを「減資」と呼び、それぞれ目的や手続きが異なります。

資本金を増やす「増資」

増資は、事業拡大のための資金調達や、財務基盤を強化して社会的信用力を高めたい場合などに行われます。
主な方法として、新たに株式を発行して出資を募る「有償増資」があります。

手続きとしては、原則として株主総会の特別決議を経た後、法務局で変更登記申請を行う必要があります。
その際、増加した資本金の額に応じて登録免許税(増加資本金額の1000分の7、最低3万円)を納付します。

資本金を減らす「減資」

減資は、過去の赤字を解消する「欠損填補」や、資本金の額を1億円以下に引き下げて税制上の優遇措置を受ける目的などで行われます。

しかし、減資の手続きは増資に比べて非常に複雑で時間もかかります
株主総会の特別決議に加え、会社の財産が減少することから、債権者を保護するための手続き(官報での公告や個別の催告など)が法律で義務付けられているためです。
安易な減資は会社の信用力を大きく損なうリスクもあるため、実行する際は税理士や司法書士などの専門家と慎重に検討することが不可欠です。

現物出資とは何ですか?

現物出資とは、会社設立時に金銭の代わりに不動産、自動車、パソコン、有価証券、知的財産権といった「モノ(現物財産)」を出資することを指します。
手元に十分な現金がない場合でも、事業に必要な資産を活用して会社を設立できるというメリットがあります。

ただし、金銭と違って客観的な価値の評価が難しいことから、原則として裁判所が選任した検査役による価額の調査が必要です。
この手続きは時間と費用がかかるため、実務上は以下の例外規定が利用されることがほとんどです。

  • 現物出資する財産の総額が500万円以下である場合
  • 市場価格のある有価証券を、定められた方法で算定した価額以下で出資する場合
  • 弁護士や公認会計士、税理士などによる価額が妥当であることの証明を受けた場合

特に「総額500万円以下」のケースは手続きが簡便なため、多くのスタートアップ企業で活用されています。
例えば、事業で使用する予定のパソコン(20万円)や自動車(150万円)を現物出資することで、現金出資を抑えながら資本金を設定することが可能です。

資本金と自己資本の違いは何ですか?

「資本金」と「自己資本」は混同されがちですが、会計上は明確に異なる意味を持ちます。
簡単に言うと、「資本金」は「自己資本」を構成する要素の一つです。

会社の貸借対照表(バランスシート)において、資産の合計額は「負債(他人資本)」と「純資産(自己資本)」の合計額と一致します。
この関係性を理解することが重要です。

  • 自己資本(純資産):株主からの出資金や、事業活動で得た利益の蓄積など、会社が返済する必要のないお金のこと。会社の経営の安定性を示す重要な指標です。
  • 他人資本(負債):金融機関からの借入金や買掛金など、いずれ返済しなければならないお金のこと。

そして、自己資本はさらに以下のような項目に分類されます。
資本金はその中核をなすものですが、あくまで一部であることがわかります。

項目内容
資本金株主が会社に出資したお金のうち、会社が「資本金」として計上した部分。会社の規模や信用の基礎となります。
資本準備金株主からの出資額のうち、資本金に組み入れなかった部分(出資額の2分の1を超えない額まで)。将来の欠損填補などに備えるためのお金です。
利益剰余金
(利益準備金など)
会社が事業活動を通じて得た利益の蓄積。配当の原資となったり、再投資に回されたりします。

つまり、資本金は主に「設立時の元手」を示すのに対し、自己資本はそれに「これまでの経営で蓄積した利益」を加えた、より包括的な会社の財産状況を示します。
企業の財務健全性を判断する際は、資本金の額だけでなく、自己資本全体がどれだけ充実しているかが問われます。

資本金の額は、会社の信用力や税負担、資金繰りに直結する重要な経営判断です。

資本金が多いと社会的信用は高まりますが税負担が増え、少ないと設立は容易ですが資金ショートのリスクを伴います。このように一長一短があるため、絶対的な正解はありません。

事業に必要な初期費用や運転資金、許認可の要件、そして「資本金1000万円の壁」による税制上の影響などを総合的に考慮し、ご自身の事業計画に最適な金額を決定することが成功への第一歩です。

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