合同会社を経営しているものの、収入がない期間が続くと、資金繰りや税金の支払いが大きな課題となります。
本記事では、収入がない状況においても発生する法人住民税の均等割や固定費の削減方法、補助金の活用、さらには休眠や解散の選択肢まで詳しく解説します。
事業を継続すべきか見直すポイントを押さえ、資金的な負担を最小限に抑える対策を知ることで、会社運営をより安定させるための適切な判断が可能になります。
合同会社の収入なしの期間に考えるべきこと
収入がない状態のリスクとは
合同会社を運営する上で、事業が順調に進まない時期は誰にでも訪れる可能性があります。
特に収入がない期間が続くと、固定費の支払いが経営を圧迫するだけでなく、事業継続の判断を求められる状況にもなりかねません。
収入がない期間に発生する主なリスクは以下の通りです。
リスク | 具体的な影響 |
---|---|
固定費の負担 | オフィス賃料や光熱費、通信費などが継続的に発生する |
法人住民税の支払い | 売上がなくても最低限の住民税(均等割)が必要 |
信用リスクの増大 | 資金繰りが厳しくなると取引先や金融機関の信用を失う可能性 |
従業員の給与支払い | 従業員がいる場合、給与を支払えないと雇用維持が困難 |
これらのリスクを最小限に抑えるためには、早い段階での資金計画と支出の見直しが不可欠です。
運営を続けるための最低限のコスト
収入がない期間でも、合同会社を維持するためには最低限のコストが発生します。
これらのコストを把握し、支払う必要のあるものと削減できるものを整理することが重要です。
主な固定費としては、以下のような項目が挙げられます。
費用項目 | 発生頻度 | 削減可能性 |
---|---|---|
法人住民税(均等割) | 毎年 | 不可(支払い義務あり) |
オフィス賃料 | 毎月 | 可能(解約・縮小) |
光熱費・通信費 | 毎月 | 可能(節約・契約見直し) |
税理士顧問料 | 毎月・毎年 | 可能(契約変更・スポット契約に変更) |
特にオフィス賃料や通信費など、事業の継続と直接関係のない経費については、削減の余地があります。
例えば、オフィスを解約してリモートワークに切り替えることで、大幅なコスト削減が可能となります。
事業継続か解散かの判断基準
合同会社を運営する上で、収入がない期間が長引くと、事業を継続するか解散するかの判断を迫られることになります。
どのタイミングでどの選択肢を選ぶべきかを明確に整理し、適切に判断することが重要です。
事業継続と解散の判断基準はいくつかのポイントに分けられます。
判断基準 | 事業継続の判断要素 | 解散を検討すべき要素 |
---|---|---|
資金繰り | 新たな資金調達が可能 | 支払いが困難で借入も厳しい |
将来の収益見込み | 新たな顧客獲得の可能性がある | 事業の見通しが立たない |
固定費の負担 | リストラやコスト削減が可能 | コスト削減が難しく赤字が続く |
精神的負担 | 再起の意欲がある | ストレスが大きく、継続が困難 |
特に資金繰りや事業の将来性は重要な判断ポイントです。
収益の見込みが全くなく資金調達も難しい場合は、無理に会社を維持しようとせず、休眠や解散の方向で検討することも選択肢の一つです。
一方で、補助金や助成金を活用することで短期間の延命が可能な場合もあるため、資金調達の可能性を慎重に検討してから決断することが大切です。
合同会社の収入なしでも発生する税金とその対策

法人住民税の均等割とは
合同会社は収入がなくても法人住民税の均等割を支払う義務があります。
均等割とは、法人の規模に応じて毎年一定額が課される税金です。
法人住民税の均等割の金額は、自治体ごとに異なりますが、一般的には以下のように決まっています。
資本金等の額 | 従業員数 | 均等割額(目安) |
---|---|---|
1,000万円以下 | 50人以下 | 7万円 |
1,000万円超~1億円以下 | 50人以下 | 18万円 |
1億円超~10億円以下 | 50人以下 | 29万円 |
この税金はたとえ赤字であっても発生するため、収入がない期間でも納税義務があることに注意が必要です。
消費税の免税事業者の条件
合同会社の年間売上が1,000万円以下であれば、基本的には消費税の納税義務が免除されます。
ただし、この条件にはいくつかの注意点があります。
設立から2年間は免税
合同会社を設立した場合、設立後2年間は消費税が免除されるケースが多いです。
ただし、資本金が1,000万円以上で設立した場合には、1期目から課税対象となります。
売上が1,000万円を超えた場合
2期目以降に2年前の売上高が1,000万円を超えた場合、適用年度から消費税を納める必要があります。
また、現在「インボイス制度」の導入により、取引先から適格請求書発行事業者としての登録を求められる場合があります。
インボイス制度に登録すると消費税の納税義務が発生するため、慎重な判断が必要です。
法人税申告と赤字決算の取り扱い
収入がなくても合同会社は法人税の申告を行う義務があります。
赤字であれば税額は発生しませんが、必ず申告だけは行わなければなりません。
赤字でも申告が必要な理由
法人税の申告を怠ると、税務署から申告漏れとみなされる可能性があります。
場合によっては「決算申告書不提出」として罰則を受けることもあります。
赤字の繰越控除
合同会社の赤字は、最大10年間繰り越しが可能です。
これにより将来利益が出た際に過去の赤字と相殺し、法人税を軽減できます。
税金を抑えるための具体策
合同会社が収入なしの期間に税負担を抑えるためには、以下のような具体的な対策が考えられます。
法人住民税の減免申請
市区町村によっては、収入がない場合に法人住民税の減免を申請できる場合があります。
自治体の税務課に問い合わせてみましょう。
休眠届を提出する
事業を一時的に停止する場合、法務局に休眠届を提出することで均等割の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、完全に免除されるわけではない点に注意が必要です。
固定費の削減
収入がない期間は事務所の解約や通信費の見直しなどで支出を抑えることが重要です。
自宅を事務所にすることでコストを削減できます。
これらの対策を組み合わせることで、収入がない期間でも無駄な税負担を軽減し、合同会社を維持しやすくなります。
合同会社の資金繰りと節約方法

固定費の見直しと削減ポイント
合同会社の収入がない期間において最も重要なのは、固定費の見直しと削減です。
固定費は、売上に関わらず定期的に発生するため、適切に管理しなければ資金が枯渇してしまう可能性があります。
以下の項目について、見直しを行いましょう。
固定費の種類 | 削減方法 |
---|---|
オフィス費用 | レンタルオフィスやコワーキングスペースの利用、自宅兼事務所化 |
通信費 | プランの見直し、格安SIMの導入 |
サブスクリプションサービス | 不要なものを解約、代替の無料ツールを活用 |
従業員の給与 | 時短勤務の推奨、業務委託・フリーランスの活用 |
このように、対処可能な固定費を見直し、支出を抑えることで、無収入期間の負担を軽減できます。
補助金や助成金の活用
合同会社が収入なしの状態でも事業を継続できるよう、各種補助金や助成金の制度を活用しましょう。
国や自治体が提供する制度には、以下のようなものがあります。
助成金・補助金名 | 概要 |
---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 設備投資や広告宣伝費に活用可能 |
ものづくり補助金 | 製造業などの技術向上のための投資支援 |
雇用調整助成金 | 従業員の雇用維持のための補助金 |
補助金の申請には、事業計画書の作成や申請手続きが必要ですが、採択されれば経営の大きな助けとなります。
金融機関や公的融資の選択肢
資金繰りが厳しい状況においては、金融機関の融資制度や公的融資を検討することが重要です。
日本政策金融公庫では、小規模事業者向けに無利子や低金利の融資制度が提供されています。
以下の融資制度を参考にするとよいでしょう。
融資制度 | 特徴 |
---|---|
日本政策金融公庫「新創業融資制度」 | 無担保・無保証で融資可能(一定の条件あり) |
地方自治体の制度融資 | 金利補助や信用保証協会の保証付きの融資 |
商工会議所の相談融資 | 商工会議所が中小企業向けに提供する低利の融資 |
融資は返済が必要なため、資金繰りの計画を立てた上で活用しましょう。
個人資産との適切な切り分け
合同会社の資金が不足すると、経営者自身の資産で補填したくなることがあります。
しかし、法人と個人の資金を適切に分けることが重要です。
- 法人の経費と個人の支出を明確に分ける
- 法人名義の銀行口座を開設し、事業資金と個人資産を混在させない
- 個人資産を貸し付ける場合、返済計画を明確にして帳簿に記載する
無計画に個人資産を流用すると、法人と個人の区別が不明確になり、法人格を維持できなくなったり税務上の問題が発生したりするリスクがあります。
そのため、必ず適切な会計処理を行いましょう。
収入なしの期間を乗り越えるための働き方

個人での副業と会社経営の両立
合同会社で事業を続けながら、収入源を確保するために個人で副業を行うという選択肢があります。
個人事業主としてフリーランス案件を受けたり、アルバイトをしたりすることで、一時的な資金繰りを改善することが可能です。
ただし、法人と個人の収益を明確に分ける必要があります。
個人で得た収入は法人の売上には計上せず、適切な確定申告を行うことが重要です。
また、副業としてアフィリエイトやYouTube、スキルシェアサービス(ココナラなど)の活用も有効です。
こうした収益が安定すれば、本業が回復するまでの資金源となるでしょう。
事業再生のための新しい収益モデル
現在のビジネスモデルでは収益が得られない場合、新しい事業モデルを模索することが必要です。
以下のような方法が考えられます。
収益モデル | 具体例 | メリット |
---|---|---|
サブスクリプション | 月額サービス提供(会員制サイト、オンライン講座) | 安定した継続収入が得られる |
EC販売 | 自社サイトやAmazonでの物販 | 初期投資を抑えて販売を開始できる |
デジタルコンテンツ販売 | 電子書籍、オンラインコース、テンプレート販売 | 在庫リスクがなく利益率が高い |
広告収益 | ブログ・SNSに広告を掲載する | 低コストでスタート可能 |
現在のリソースを活かしつつ新しいマーケットへチャレンジすることで、収益の柱を増やすことができます。
業務委託や外注の活用
事業を成長させるために、コストを抑えながら外部リソースを活用することも有効です。
例えば、業務委託としてクラウドソーシングサービス(ランサーズやクラウドワークスなど)を利用すれば、短期間で専門スキルを持った人材を確保できます。特に、
- Web制作・デザイン
- SEO対策・コンテンツ作成
- 経理・事務代行
といった業務は外注しやすいため、企業の負担を軽減しつつ事業を回すことが可能です。
また、フリーランスとして業務委託契約を結び、自社のスキルを提供する働き方も選択肢の一つです。
例えば、コンサルティング業務や企業のサポート業務を行うことで新たな収益を得ることもできます。
クラウドファンディングや投資の選択肢
新規事業の展開や資金確保の手段として、クラウドファンディングも有力な方法です。
以下のようなプラットフォームが活用できます。
- Makuake(プロジェクト型資金調達)
- CAMPFIRE(一般向けクラウドファンディング)
- READYFOR(社会貢献型プロジェクト向け)
クラウドファンディングを活用することで、新規プロジェクトの資金調達だけでなく、マーケットテストとしても有効です。
また、余剰資金がある場合、投資活動を行うことで資金運用を強化できます。
例えば、不動産投資や株式投資、仮想通貨などの資産運用を取り入れることで、会社のキャッシュフロー改善につながる場合があります。
会社として投資を行う場合は、法人名義の証券口座を開設し、運用ルールを明確にすることで、リスクを最小限に抑えられます。
合同会社を休眠または解散する方法

休眠会社として存続させる手順
合同会社が一定期間事業を行わない場合、休眠会社として存続させることが可能です。
これにより、会社の名称や法人格を維持しつつ、課税負担を最小限に抑えることができます。
休眠状態にするための主な手順は以下の通りです。
法務局への届出
休眠会社とする場合、法務局へ「休眠届」を提出する必要はありません。
ただし、12年以上登記がないと、職権で解散となる可能性があります。
そのため、最低でも12年以内に登記を行う必要があります。
税務署・自治体への届出
合同会社を休眠させる場合、税務署への「事業廃止届出書」を提出することで、法人税の申告義務がなくなります。
また、地方税に関しても各自治体へ休眠の旨を知らせることで、必要のない課税を防ぐことができます。
ただし、法人住民税の均等割は休眠状態であっても課税されるため注意が必要です。
銀行口座と社会保険の対応
通帳や口座はそのまま維持することも可能ですが、休眠期間が長引く場合は金融機関へ休眠の旨を伝えるのが望ましいです。
また、社会保険や労働保険についても各関係機関に届け出を行い、手続きを完了させる必要があります。
解散・清算の流れと費用
合同会社を完全に廃止する場合、法的な手続きを経て正式に解散・清算を行う必要があります。
その流れと主な費用について解説します。
解散の決議
合同会社の解散は総社員の同意により決定されます。
定款に別段の定めがない限り、全社員の合意が必要となります。
法務局への解散登記
解散を決定したら、解散登記を法務局へ申請します。
この際、登記簿へ解散の事実を記載するため、登録免許税として30,000円(2024年時点)が必要です。
債権者への通知と公告
会社が解散を行う場合、債権者へ官報公告を行う必要があります。
官報公告の掲載には費用がかかり、約32,000円(掲載面積・地域による変動あり)が必要となります。
また、取引先などの関係者へ直接書面で通知することも推奨されます。
財産整理と清算結了
会社の資産・負債を整理した後、最終的な清算手続きを完了させます。
その後、清算結了登記を行い、法人としての活動を法的に終了させます。
解散と清算にかかる主要費用
項目 | 費用 |
---|---|
解散登記の登録免許税 | 30,000円 |
官報公告費用 | 約32,000円 |
税理士・司法書士報酬(任意) | 50,000円~(依頼内容による) |
休眠と解散のメリット・デメリット
合同会社を休眠させる場合と解散させる場合では、それぞれメリット・デメリットがあります。
どちらを選択すべきか判断する際の参考にしてください。
- 休眠のメリット
- 法人格を維持できるため、将来的に事業を再開しやすい
- 解散・清算の手続きをせずに済むため手間がかからない
- 税務申告などの手続きを簡略化できる
- 休眠のデメリット
- 法人住民税の均等割(最低7万円)が発生し続ける
- 長期間放置すると職権による解散処分を受ける可能性がある
- 解散のメリット
- 法人住民税の均等割の負担を完全に解消できる
- 書類や税務処理の手間がなくなり、個人に集中できる
- 解散のデメリット
- 手続きが多く、費用もかかる
- 一度解散すると同じ法人を再設立することができない
休眠か解散を決定する際には、現在の資金状況や将来の事業計画を考慮し、慎重に判断する必要があります。
まとめ
合同会社で収入がない期間も、税金や固定費を適切に管理することで乗り切ることが可能です。
法人住民税の均等割は発生するため、最小限のコストで運営を継続するか、休眠・解散の選択肢を検討しましょう。
資金が不足する場合は補助金や助成金、融資の活用を検討し、副業などでの収入確保も重要です。
事業再建を図るか会社を整理するかは、コストと将来の見込みを考慮して慎重に判断することが求められます。