これから会社を設立するにあたり、「定款の事業目的はいくつ書けば良いのだろう?」と悩んでいませんか。
将来の事業展開を見越してたくさん書きたいけれど、融資や許認可への影響が心配という方も多いでしょう。
この記事では、事業目的をたくさん書くメリット・デメリットから、後悔しないための具体的な決め方、主要業種別の文例までを網羅的に解説します。
結論から言うと、事業目的はたくさん書いても問題ありません。
ただし、会社の信用を損なわず、スムーズな登記や融資を実現するためにはいくつかの注意点があります。
本記事を読めば、あなたの会社に最適な事業目的の決め方が明確になります。
結論 定款の事業目的はたくさん書いても問題なし
これから会社を設立しようとお考えの方が最初に直面する疑問の一つに、「定款に記載する事業目的はいくつまで書けるのか?」というものがあります。
結論から申し上げますと、定款に記載する事業目的の数に法律上の上限はなく、たくさん書いても全く問題ありません。
会社法には事業目的の数に関する規定が存在しないため、理論上はいくつでも記載することが可能です。
実際に、将来の事業拡大の可能性を見据えて、設立時点で10〜15個程度の事業目的を盛り込んでおく企業は少なくありません。
これにより、事業の多角化を進める際に、定款変更という手間とコストを省けるという大きなメリットがあります。
ただし、やみくもに数を増やせば良いというわけではありません。
事業目的の数が多すぎると、かえってデメリットが生じる可能性も潜んでいます。
重要なのは、メリットとデメリットの両方を正しく理解し、自社の将来像に合わせた戦略的な視点で事業目的を決定することです。
まずは、事業目的の数に関する基本ルールを以下の表で確認しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法律上の上限 | なし。会社法に事業目的の数を制限する条文はありません。 |
| 一般的な数 | 10〜15個程度が一般的。将来的に行う可能性のある事業を幅広く記載するケースが多いです。 |
| 記載する際の基本原則 | 「適法性」「営利性」「具体性」の3つの要件を満たしている必要があります。 |
| 注意すべき点 | 数が多すぎると、金融機関の融資審査や許認可の申請、取引先からの信用に影響が出る可能性があります。 |
このように、定款の事業目的はたくさん記載できますが、会社の「顔」ともいえる部分であるため、慎重な検討が不可欠です。
次の章からは、事業目的をたくさん書く具体的なメリット・デメリット、そして後悔しないための決め方のステップを詳しく解説していきます。
事業目的をたくさん書く4つのメリット

定款の事業目的をたくさん書くことに、漠然とした不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、会社設立の段階で将来を見据えて事業目的を幅広く記載しておくことには、多くのメリットが存在します。
ここでは、事業目的をたくさん書いておくことで得られる4つの大きな利点について、具体的に解説します。
将来の事業拡大へ柔軟に対応できる
会社設立当初は想定していなかった事業でも、ビジネスを進める中で新たなチャンスが生まれることは珍しくありません。
例えば、Web制作会社としてスタートしても、顧客からSEOコンサルティングや動画制作、自社メディア運営の相談を受ける可能性があります。
このような場合、あらかじめ関連する事業目的が定款に記載されていれば、すぐに新規事業として着手できます。
ビジネスの世界ではスピードが成功の鍵を握ることも多いため、将来の事業拡大の可能性を狭めず、柔軟かつ迅速に対応できる体制を整えておくことは、経営戦略上非常に重要です。
機会損失を防ぎ、成長のチャンスを逃さないための布石となります。
事業目的変更の手間とコストを削減できる
会社設立後に事業目的を追加または変更する場合、法的な手続きが必要となり、手間とコストが発生します。
具体的には、株主総会での定款変更決議と、法務局での変更登記申請が求められます。
この変更登記には、登録免許税として3万円の費用がかかるほか、司法書士に依頼すれば別途報酬も発生します。
会社設立時に将来行う可能性のある事業を盛り込んでおけば、これらの手続きと費用をまるごと削減できます。
以下の表で、その差は一目瞭然です。
| 項目 | 設立時に事業目的を記載した場合 | 後から事業目的を追加した場合 |
|---|---|---|
| 必要な手続き | なし(設立時の手続きに含まれる) | 株主総会の特別決議、変更登記申請 |
| 主な費用 | なし(設立時の費用に含まれる) | 登録免許税:30,000円 (司法書士への依頼費用が別途発生する場合あり) |
| 事業開始までの時間 | 即時 | 登記手続き完了まで数週間かかる場合あり |
特に、創業間もない時期の3万円という出費と手続きの手間は、決して小さな負担ではありません。
将来のコスト削減という観点からも、事業目的を多めに記載しておくメリットは大きいと言えるでしょう。
会社の将来的なビジョンをアピール材料にできる
定款は、法務局に提出するだけの書類ではありません。
金融機関から融資を受ける際や、大手企業と取引を開始する際、あるいは投資家から出資を募る際など、会社の信用情報を確認するために第三者が閲覧する可能性があります。
その際、事業目的が多岐にわたって記載されていれば、単一の事業に留まらない、会社の成長戦略や将来性、事業展開のビジョンを具体的に示すことができます。
例えば、「コンサルティング業」だけでなく、「セミナー、講演会の企画及び運営」「書籍の執筆、出版」といった目的が記載されていれば、知識やノウハウを多角的に展開していく意欲的な会社であるという印象を与えられます。
これは、採用活動においても、求職者に対して会社の魅力や将来性をアピールする有効な材料となり得ます。
関連事業のチャンスを逃さない
現在の事業と関連性の高い分野を事業目的に含めておくことで、予期せぬビジネスチャンスを確実なものにできます。
例えば、飲食店の経営者が、常連客から「この店のオリジナルソースを商品化して販売してほしい」と要望されたとします。
この時、定款の事業目的に「食料品の企画、製造、販売」といった一文があれば、すぐに商品開発・販売へとスムーズに移行できます。
もし記載がなければ、契約上の問題や信用の観点から、せっかくのチャンスを逃してしまう(機会損失)かもしれません。
本業から派生する可能性のある関連事業をあらかじめ網羅しておくことは、ビジネスチャンスを逃さないための重要なリスクヘッジと言えるのです。
事業目的をたくさん書く際のデメリットと注意点

定款の事業目的をたくさん記載することには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。
メリットだけに目を向けて安易に事業目的を増やしてしまうと、後々思わぬトラブルや手間につながる可能性があります。
ここでは、事業目的をたくさん書く際に必ず押さえておきたいデメリットと注意点を具体的に解説します。
会社の専門性が分かりにくくなる可能性
事業目的をあまりにも多く、かつ関連性の薄いものまで羅列してしまうと、第三者から見て「この会社は何を専門としているのか」が分かりにくくなるというデメリットがあります。
会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は、取引先や顧客、求職者など、誰でも閲覧できる公的な書類です。
そこに一貫性のない事業目的が多数並んでいると、「何でも屋」という印象を与えてしまい、専門的なスキルやノウハウを求める案件の依頼を逃してしまうかもしれません。
特にBtoB取引においては、企業の専門性や信頼性が重視されるため、事業内容が不明瞭であることはマイナスに働く可能性があります。
主力事業が明確に伝わるよう、記載する順番を工夫するなどの配慮が求められます。
許認可が必要な事業は記載方法に注意
事業を行うにあたって、国や都道府県から許認可を得る必要がある業種が存在します。
これらの事業を定款の目的に記載する場合、許認可庁が求める特定の文言が正確に含まれていなければ、申請が受理されないという重大な注意点があります。
例えば、ただ「建設業」と記載するだけでは建設業許可は下りず、「土木工事業」「建築工事業」といった具体的な業種を明記する必要があります。
文言が一つ違うだけで許認可が取得できず、事業開始が大幅に遅れてしまうケースも少なくありません。
将来的に許認可が必要な事業を行う可能性がある場合は、必ず事前に管轄の行政庁や行政書士などの専門家に確認しましょう。
| 業種(必要な許認可) | 記載が推奨される文言例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 建設業(建設業許可) | 土木工事業、建築工事業、電気工事業 など | 許可を受けたい29の業種を具体的に記載する必要があります。「建設業の請負」といった包括的な表現では認められません。 |
| 宅地建物取引業(宅建業免許) | 宅地建物取引業、不動産の売買、賃貸、仲介、管理 など | 「宅地建物取引業」という文言は必須です。これがないと免許申請ができません。 |
| 古物商(古物商許可) | 古物営業法に基づく古物の売買、交換、委託販売 など | 「古物営業法に基づく」という点と、具体的な営業形態(売買、交換など)を明記することが重要です。 |
| 飲食店(飲食店営業許可) | 飲食店の経営、食料品の販売 など | 深夜0時以降もお酒を提供する場合は「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要となり、その旨も記載が推奨されます。 |
金融機関からの融資審査で不利になるケース
会社設立時や事業拡大時に、日本政策金融公庫や民間の銀行から融資を受けることを検討している場合、事業目的の多さが審査に影響を与える可能性があります。
金融機関は、融資した資金が事業計画通りに使われ、確実に返済されるかという「事業の実現可能性」を厳しく審査します。
その際、事業目的に一貫性がなく、あまりにも多岐にわたる事業が記載されていると、「事業に集中できず、計画が絵に描いた餅になるのではないか」と懸念され、融資担当者にマイナスの印象を与えることがあります。
特に創業融資では、これから始める事業への集中度や本気度が問われます。
関連性の薄い事業目的は、融資実行後に事業が軌道に乗ってから追加することを検討するのも一つの戦略です。
対外的な信用に影響を与えることも
定款や登記簿謄本は、会社の「顔」とも言える公的な証明書です。
そこに記載されている事業目的は、会社の事業内容だけでなく、企業としての姿勢や方向性を示すものでもあります。
例えば、実態とかけ離れた事業目的が多数含まれていたり、投機的なイメージの強い事業ばかりが並んでいたりすると、取引先や提携先候補から「実態がよくわからない怪しい会社」というレッテルを貼られ、信用を損なう恐れがあります。
堅実な取引を望む企業からは敬遠され、ビジネスチャンスを失うことにもなりかねません。
会社のブランドイメージや社会的信用を考慮し、公序良俗に反しないことはもちろん、社会通念上、堅実な企業活動と見なされる範囲で目的を記載することが賢明です。
後悔しない定款の事業目的の決め方5ステップ

会社の憲法ともいえる定款。その中でも「事業目的」は、会社の顔であり、将来の可能性を左右する重要な項目です。
ここでは、後悔しない事業目的を定めるための具体的な5つのステップを、初心者の方にも分かりやすく解説します。
このステップに沿って進めることで、戦略的かつ抜け漏れのない事業目的を作成できるでしょう。
ステップ1 現在の事業内容を明確に書き出す
事業目的を決める第一歩は、足元を固めることです。
まずは「今、何をしようとしているのか」を具体的に言語化しましょう。
「コンサルティング業」といった漠然とした表現ではなく、「誰に」「何を」「どのように」提供するのかを分解して考えます。
例えば、「ITコンサルティング」を始める場合、以下のように細分化して書き出してみましょう。
- 中小企業を対象とした業務効率化のためのITシステム導入支援
- Webサイトの制作、保守、運営管理
- インターネットを利用した広告宣伝に関するコンサルティング
- DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する研修およびセミナーの企画・運営
現在の事業内容を具体的に書き出す作業は、会社の事業の核を明確にし、金融機関からの融資や取引先への説明時にも役立ちます。
まずはここから丁寧に行いましょう。
ステップ2 将来展開したい事業をリストアップする
会社設立時に、将来の事業展開まで完璧に予測することは不可能です。
しかし、現事業から派生する可能性のある事業や、将来的に挑戦してみたい分野をあらかじめ事業目的に含めておくことは非常に重要です。
なぜなら、後から事業目的を追加するには、株主総会の開催や登記変更手続きが必要となり、時間と費用(登録免許税3万円)がかかるからです。
1年後、3年後、5年後といった時間軸をイメージしながら、少しでも可能性がある事業を自由にリストアップしてみましょう。
例えば、飲食店の開業を考えているなら、次のような展開が考えられます。
- オリジナル商品の企画、開発、販売(ECサイトでの展開も含む)
- ケータリングサービス、デリバリー事業
- 料理教室の企画、運営
- 飲食店経営に関するコンサルティング事業
- フランチャイズチェーンシステムによる加盟店の募集及び指導育成
この段階では「本当にやるかどうか」を深く考えすぎず、可能性のタネをできるだけ多く洗い出すことがポイントです。
このリストが、将来の事業拡大に向けた羅針盤となります。
ステップ3 適法性と具体性、営利性を確認する
リストアップした事業目的が、法的に登記できるものかどうかを確認するステップです。
事業目的には「適法性」「具体性」「営利性」という3つの要件が求められます。
これらを満たさないと、法務局での登記申請が受理されない可能性があるため、必ずチェックしましょう。
| 要件 | 内容 | 良い例 | 悪い例 |
|---|---|---|---|
| 適法性 | 法律に違反していない、公序良俗に反していない事業であること。 | 古物営業法に基づく古物の売買 | 賭博場の経営(法律で禁止) |
| 具体性 | 第三者が読んでも事業内容を客観的に理解できる明確な表現であること。 | インターネットを利用した通信販売業 | 世の中を良くする事業(抽象的すぎる) |
| 営利性 | 利益を上げて株主に配当することを目的とした事業であること。 | 飲食店の経営 | 慈善活動、ボランティア活動(営利目的ではない) |
特に「具体性」は判断が難しい場合があります。
他の会社の定款を参考にしたり、不安な場合は司法書士などの専門家に相談したりすることをおすすめします。
ステップ4 許認可の要件を事前に調査する
事業内容によっては、事業を開始する前に国や都道府県などから「許認可」を得る必要があります。
そして、許認可を申請する際、定款の事業目的に特定の文言が正確に記載されていることが絶対条件となるケースが少なくありません。
例えば、以下のような事業は許認可が必要です。
- 建設業:建設業法に基づく建設業許可
- 宅地建物取引業:宅地建物取引業法に基づく免許
- 飲食店営業:食品衛生法に基づく飲食店営業許可
- 古物商:古物営業法に基づく古物商許可
- 人材派遣業:労働者派遣法に基づく労働者派遣事業許可
これらの事業を将来的に少しでも行う可能性がある場合は、必ず事前に管轄の行政庁(都道府県庁、保健所、警察署など)のウェブサイトを確認したり、問い合わせたりして、必要な事業目的の文言を正確に把握しておきましょう。
この調査を怠ると、いざ事業を始めようという時に許認可が下りず、大きな機会損失につながる恐れがあります。
ステップ5 文例を参考に適切な表現に整える
最後のステップとして、これまでのステップで洗い出した事業内容を、登記に適した法的な表現に整えていきます。
全くのゼロから文章を作成するのは難しいため、同業他社の事業目的を参考にすると効率的です。
他社の事業目的は、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば誰でも確認できます。
また、インターネットで「(業種名) 事業目的 文例」などと検索すると、多くの情報が見つかります。
ただし、文例をそのまま使うのではなく、必ず自社の事業内容に合わせてカスタマイズしてください。
そして、事業目的の最後に、次の一文を加えることを強く推奨します。
「前各号に附帯又は関連する一切の事業」
これは「バスケット条項」と呼ばれ、定款に記載した各事業目的に関連する業務であれば、広くカバーできる非常に便利な一文です。これにより、事業の柔軟性が格段に高まります。全ての事業目的を書き終えたら、この一文を忘れずに追加しましょう。最終的なチェックを司法書士などの専門家に依頼すると、より安心して会社設立手続きに進むことができます。
業種別 定款の事業目的の書き方と文例集

会社の定款を作成する上で、事業目的の記載は非常に重要です。
ここでは、主要な業種ごとに、将来の事業拡大を見据えた事業目的の書き方のポイントと具体的な文例を紹介します。
自社の事業内容に合わせて、これらの文例を組み合わせたり、アレンジしたりして活用してください。
IT・Webサービス業の事業目的 文例
IT・Webサービス業界は技術の進歩が速く、事業内容が多岐にわたりやすいため、将来展開する可能性のあるサービスを幅広く記載しておくことが重要です。
AI、DX支援、SaaS開発など、将来のトレンドを見越したキーワードを盛り込むことで、事業拡大の際にスムーズに対応できます。
| 分類 | 事業目的の文例 |
|---|---|
| システム・アプリ開発 | コンピュータソフトウェア及びアプリケーションの企画、開発、設計、販売、賃貸、保守及び管理 |
| Webサイト関連 | ウェブサイト、ウェブコンテンツ及びデジタルコンテンツの企画、制作、デザイン、運営及びコンサルティング |
| インフラ・サーバー | サーバーの設計、構築、運用、保守及び管理業務 |
| マーケティング・広告 | インターネットを利用した広告代理店業及び各種マーケティングに関するコンサルティング |
| データ・AI関連 | 人工知能(AI)関連技術の研究開発及び関連サービスの提供 |
| DX支援 | 企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進支援及びコンサルティング |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
コンサルティング業の事業目的 文例
コンサルティング業は、専門分野を明確にしつつ、関連する業務を幅広く記載するのが一般的です。
例えば、経営コンサルティングを主軸としつつ、セミナー開催、研修事業、執筆活動なども加えておくことで、収益源の多角化に対応できます。
| 分類 | 事業目的の文例 |
|---|---|
| 経営全般 | 経営コンサルティング業 |
| 専門分野 | 財務、人事、労務、マーケティング及び営業活動に関するコンサルティング |
| 研修・セミナー | 各種セミナー、講演会、研修の企画、立案、運営及び実施 |
| 情報発信 | 書籍、雑誌その他印刷物の企画、執筆、出版及び販売 |
| 調査・分析 | 市場調査、分析及び各種情報提供サービス |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
飲食店の事業目的 文例
飲食店の経営では、店舗での飲食提供だけでなく、テイクアウトやデリバリー、オンラインでの食品販売など、事業形態が多様化しています。
将来的にECサイトでの商品販売や、フランチャイズ展開を考えている場合は、あらかじめ事業目的に加えておきましょう。
なお、深夜にお酒を提供する場合や中古厨房機器を売買する場合は、それぞれ深夜酒類提供飲食店営業の届出や古物商許可が必要となるため注意が必要です。
| 分類 | 事業目的の文例 |
|---|---|
| 店舗経営 | 飲食店の経営、企画及び運営 |
| 食品販売 | 食料品、加工食品、飲料及び酒類の製造、加工、販売及び輸出入 |
| 中食・宅配 | 弁当、惣菜等の調理、販売及び宅配サービス(デリバリー、ケータリング) |
| コンサルティング | 飲食店経営に関するコンサルティング業務 |
| フランチャイズ | フランチャイズチェーンシステムによる飲食店の加盟店募集及び経営指導 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
小売業・ECサイト運営の事業目的 文例
実店舗での販売だけでなく、インターネットを通じた通信販売(ECサイト)が主流となっています。
扱う商材は具体的に列挙せず「各種商品の企画、製造、販売」のように包括的に記載すると、将来的に取り扱い品目が増えても対応できます。
中古品を扱う場合は、古物商許可が必要になるため「古物営業法に基づく古物の売買」という一文を忘れずに入れましょう。
| 分類 | 事業目的の文例 |
|---|---|
| 販売全般 | 衣料品、雑貨、食料品、化粧品等の各種商品の企画、製造、販売及び輸出入 |
| ECサイト | インターネットを利用した通信販売業及び情報提供サービス |
| 中古品販売 | 古物営業法に基づく古物の売買及びレンタル |
| 店舗運営 | 小売店の経営、企画及び運営 |
| 卸売 | 各種商品の卸売業 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
建設業の事業目的 文例
建設業を営む場合、建設業法に基づく許可が必要となります。
将来的に取得する可能性のある業種の工事は、設立時点で事業目的に記載しておくことが極めて重要です。後から追加すると定款変更と変更登記が必要になり、手間と費用がかかります。
また、工事請負だけでなく、不動産売買や賃貸、管理なども併せて記載するケースが多く見られます。
| 分類 | 事業目的の文例 |
|---|---|
| 工事全般 | 土木一式工事、建築一式工事の請負、設計、施工及び監理 |
| 専門工事 | 内装仕上工事、電気工事、管工事、塗装工事等の設計、施工及び監理 |
| リフォーム | 建築物の増改築、リフォーム及びリノベーション事業 |
| 不動産関連 | 不動産の売買、賃貸、仲介、管理及びコンサルティング |
| その他 | 建築資材の販売及び輸出入 |
| 附帯事業 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
会社設立後に事業目的を追加・変更する方法

会社設立時に熟考して事業目的を定めても、ビジネスの状況変化や新たなチャンスの到来により、事業内容を追加・変更したくなるケースは珍しくありません。
結論から言うと、会社設立後であっても事業目的の追加・変更は可能です。
ただし、そのためには法務局での手続きが必要となり、時間とコストがかかることを覚えておきましょう。
手続きは、大きく分けて「①定款そのものを変更する手続き」と「②変更内容を登記に反映させる手続き」の2段階で進めます。
株主総会の特別決議で定款を変更する
事業目的は定款の記載事項であるため、これを変更するには、まず会社の根本規則である定款の変更手続きが必要です。
定款の変更は、会社の最高意思決定機関である株主総会で決議しなければなりません。
特に、事業目的の変更のような重要な定款変更には、通常の普通決議よりも可決要件が厳しい「特別決議」が求められます。特別決議を可決させるための要件は次の通りです。
- 議決権を行使できる株主の過半数が出席した株主総会であること
- 出席した株主が持つ議決権のうち、3分の2以上の賛成を得ること
合同会社の場合は、社員全員の同意によって定款を変更します。
株主が自分一人の「一人会社」の場合でも、形式的に株主総会を開催し、株主総会議事録を作成する必要があるため注意しましょう。
この議事録が、後の登記申請で必要不可欠な書類となります。
法務局で変更登記の手続きを行う
株主総会で定款変更が決議されただけでは、変更した事業目的を対外的に主張することはできません。
法務局へ「変更登記申請」を行い、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている事業目的を更新して初めて、取引先や金融機関などの第三者に対して効力が生じます。
この変更登記は、株主総会で決議した日から2週間以内に管轄の法務局へ申請しなければならないと定められています。
期限を過ぎると過料(罰金)の対象となる可能性があるため、速やかに手続きを進めましょう。
手続きの流れと必要書類・費用
変更登記の手続きは、必要書類を揃えて法務局に提出することで行います。
主な必要書類と費用は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要書類 | ・株式会社変更登記申請書 ・株主総会議事録株主リスト ・委任状(場合によって) ※代理人に依頼する場合 |
| 登録免許税 | 1回の申請につき30,000円 |
| 専門家への依頼費用(目安) | 司法書士に依頼する場合、別途30,000円~50,000円程度の報酬が発生します。 |
このように、事業目的の変更には登録免許税として最低でも3万円の費用がかかります。
書類作成などの手続きが煩雑に感じる場合は、司法書士などの専門家に依頼することも有効な選択肢です。
設立時に将来の事業展開を見越して事業目的を幅広く記載しておくことは、これらの手間とコストを削減する上で非常に効果的と言えるでしょう。
まとめ
定款の事業目的は、将来の事業展開を見据えてたくさん記載しても法的に問題ありません。
これにより、事業目的変更の手間や登録免許税といったコストを削減できるメリットがあります。
しかし、会社の専門性が分かりにくくなったり、融資審査で不利になったりするデメリットも存在します。
本記事で解説した決め方の5ステップを参考に、現在の事業と将来のビジョンをバランス良く盛り込み、後悔のない事業目的を作成しましょう。