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一般貨物も軽貨物も!運送会社を設立・起業するための完全ステップ

運送会社の設立・起業をお考えの方へ。

本記事では、一般貨物(緑ナンバー)と軽貨物(黒ナンバー)の違いから、それぞれの許可要件や届出基準、具体的な設立手順、資金調達のコツまでを網羅的に解説します。

結論として、運送会社の設立を成功させるには、初期費用や車両台数に応じた最適な区分を選び、運行管理者などの人的要件や資金基準を確実にクリアすることが重要です。

この記事を読めば、手続きの流れや必要な準備がすべて分かり、スムーズに運送事業をスタートできます。

運送業を起業するにあたって、最初に理解しなければならないのが「一般貨物自動車運送事業(一般貨物)」と「貨物軽自動車運送事業(軽貨物)」の決定的な違いです。

どちらの区分で会社を設立するかによって、必要となる初期費用や車両台数、行政手続きの難易度が大きく異なります。

自社が目指すビジネスモデルや準備できる資金量に合わせて、最適な区分を選択することが設立成功への第一歩となります。

1.1 一般貨物自動車運送事業の特徴と緑ナンバー

一般貨物自動車運送事業とは、一般的に「トラック運送業」と呼ばれるもので、普通自動車や大型自動車などのトラックを使用して、荷主から運送依頼を受け、有償で荷物を運ぶ事業を指します。

この事業を運営する車両には、営業用車両の証である「緑ナンバー(緑地に白文字、または白地に緑枠)」が交付されます。

一般貨物自動車運送事業の最大の特徴は、事業を始めるためのハードルが非常に高い点にあります。

営業を開始するためには、最低でも5台以上の車両を確保し、運行管理者や整備管理者といった国家資格保持者を配置した上で、地方運輸局長からの「許可」を得る必要があります。

審査には厳格な資金要件や、営業所・車庫の確保基準が設けられており、申請から許可が下りるまでに半年以上の期間を要することも珍しくありません。

しかし、その分だけ社会的信用は極めて高く、中長距離の幹線輸送や大型資材の運搬、大手企業との直接取引など、大規模かつ高単価なビジネスを展開できるという大きなメリットがあります。

1.2 貨物軽自動車運送事業の特徴と黒ナンバー

貨物軽自動車運送事業とは、軽トラックや軽バン、または排気量125cc超の二輪車(バイク)を使用して、有償で貨物を運送する事業を指します。

この事業で使用する車両には、営業用の「黒ナンバー(黒地に黄色文字、または黄色地に黒枠)」が交付されます。

軽貨物運送事業の最大の特徴は、その手軽さにあります。

一般貨物のような厳しい許可制ではなく、運輸支局へ必要書類を提出する「届出制」となっており、車両が1台あれば個人事業主や小規模な会社でも即日開業が可能です。

運行管理者などの難しい資格も必須ではないため、開業資金を大幅に抑えてスピーディーに事業を立ち上げることができます。

近年、EC市場の急拡大に伴い、宅配便のラストワンマイルを担う軽貨物ドライバーの需要は非常に高まっています。

小回りが利くため、ルート配送やスポット便、フードデリバリーなど、地域密着型の配送サービスに最適な区分です。

1.3 自社に最適な運送会社の設立区分を選ぶポイント

一般貨物と軽貨物のどちらで運送会社を設立すべきかは、用意できる開業資金、事業の目的、そしてターゲットとする市場によって決まります。

それぞれの違いを正しく比較し、自社の事業計画に合致する区分を選びましょう。

比較項目一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)
行政手続き許可制(審査期間:約3〜5ヶ月)届出制(即日〜数日で完了)
最低必要車両台数5台以上1台から可能
必要となる有資格者運行管理者、整備管理者、運行管理補助者など不要(安全運転管理の意識は必要)
初期費用の目安約1,500万円〜2,500万円以上数十万円〜200万円程度
主なターゲット・用途BtoBの幹線輸送、重工業品、大量輸送、長距離運送BtoCの宅配、ルート配送、スポット便、近距離配送

会社設立の区分を選ぶ際は、以下の3つのポイントを基準に判断することをおすすめします。

第1に、「用意できる自己資金の額」です。自己資金が潤沢にあり、融資の調達も見込める場合は、参入障壁が高く競合との差別化が図りやすい一般貨物での設立が向いています。
一方で、まずはスモールスタートでリスクを抑えて起業したい場合は、軽貨物から始めるのが賢明です。

第2に、「獲得したい取引先(荷主)の性質」です。
大手製造業や大手物流倉庫との直接契約を狙うのであれば、緑ナンバーの取得が必須条件となるケースがほとんどです。
ネット通販の配送受託や、地域の店舗からの急な配送依頼などをメインとするなら、黒ナンバーの機動力が活きてきます。

第3に、「事業拡大のスピード感」です。
軽貨物運送業として1台からスタートし、売上の増加やドライバーの増員に合わせて徐々に規模を拡大し、将来的に一般貨物自動車運送事業へのステップアップ(緑ナンバーの取得)を目指すという経営戦略も非常に有効です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

一般貨物自動車運送事業(いわゆる緑ナンバーのトラック運送業)を始めるためには、国土交通省(地方運輸局長)から経営許可を得る必要があります。

この許可を取得するためには、国が定める非常に厳格な「5つの許可要件」をすべてクリアしなければなりません

申請準備をスムーズに進めるためにも、それぞれの要件について詳細を把握しておきましょう。

許可要件の項目主な要件内容
1. 営業所・休憩施設使用権原があること、農地法や都市計画法などの関係法令に抵触しないこと。
2. 車庫・前面道路全車両を収容できる広さ、営業所からの距離制限、前面道路の幅員が車両制限令に適合していること。
3. 車両台数・車種原則として5台以上の事業用自動車(登録自動車)を確保すること。
4. 運行管理・整備管理者有資格者の確保、および常勤役員が役員法令試験に合格すること。
5. 資金計画(自己資金)所要資金の100%以上の自己資金を、申請から許可まで常時維持していること。

2.1 営業所と休憩施設の基準

運送業の拠点となる営業所と、ドライバーが休息をとるための休憩・睡眠施設には、適切な広さと法的な適合性が求められます。

まず、営業所および休憩施設を使用する正当な権原(所有権、または3年以上の賃貸借契約など)を有していることが必須条件です。

また、設置する場所が土地や建物に関する法令に違反していないかどうかも厳しくチェックされます。

例えば、市街化調整区域や農地、建築基準法上の用途地域に適合しない場所には営業所を設置できません。

休憩施設については、原則として営業所または車庫に併設されている必要があります。

ドライバーに睡眠を与える必要がある場合は、1人あたり2.5平方メートル以上の広さがある睡眠施設を確保しなければなりません。

2.2 車庫の広さと前面道路の幅員要件

トラックを駐車する車庫は、営業所に併設されていることが原則ですが、離れている場合でも営業所からの直線距離が一定範囲内(地域により5キロメートルから10キロメートル以内)であれば認められます。

車庫の広さは、配置するすべての車両が他と干渉せずに安全に駐車でき、かつ車両の前後左右に50センチメートル以上の計画的なスペース(境界線や他車両との間隔)を確保できる広さが必要です。

営業所と同様に、農地法や都市計画法などの関係法令に適合していること、そして3年以上の使用権原があることも求められます。

さらに重要なのが、車庫に接する前面道路の幅員(道路の横幅)です。

前面道路は、道路法に基づく「車両制限令」に適合していることが求められます。

具体的には、道路管理者から「道路幅員証明書」を取得し、申請するトラックが安全にすれ違えるだけの十分な幅員があることを証明しなければなりません。

道路が狭く、車両制限令をクリアできない場合は、その場所を車庫として申請することはできません。

2.3 必要となる車両台数と車種の規定

一般貨物自動車運送事業を始めるためには、最低限必要な車両の台数と種類が法律で定められています。

許可を取得するための大原則として、1つの営業所ごとに5台以上の事業用自動車を確保することが必要です。

この5台という基準は、霊柩車や一般廃棄物運送などの特殊なケースを除き、全国共通の最低要件となっています。

対象となる車両は、登録自動車(普通トラック、小型トラック、バン、牽引車など)であり、軽自動車や二輪車は台数にカウントできません。

また、車両の使用権原を証明するために、自社所有の車両であるか、あるいは1年以上のリース契約を結んでいること、または購入予定の売買契約書などを用意する必要があります。

2.4 運行管理者と整備管理者の資格要件

安全な運行管理体制を構築するために、運送会社には専門の国家資格者などの配置が義務付けられています。

必要な人員要件は以下の通りです。

まず、安全運行の指揮をとる「運行管理者」を1名以上確保することが必要です。

運行管理者は、国土交通大臣が交付する「運行管理者資格者証(貨物)」を所持している人でなければなりません。

車両台数が30台未満であれば1名で足りますが、30台以上になると、30台ごとにさらに1名の運行管理者を増員する必要があります。

次に、車両の点検や整備を監督する「整備管理者」を1名以上確保することが必要です。

整備管理者になるためには、2級以上の自動車整備士資格を持っているか、または2年以上の実務経験に加えて「整備管理者選任前研修」を修了している必要があります。

なお、運行管理者と整備管理者は原則として兼任することができません。それぞれ別の人員を確保することが基本となります。

また、会社の役員(常勤役員)のうち1名が、申請後に実施される「役員法令試験」に合格することも許可の絶対条件となっています。

2.5 設立に必要な自己資金と資金調達の要件

一般貨物運送業の許可申請において、最もハードルが高いと言われるのが資金要件です。

運送業を安定して継続できるように、十分な自己資金があることを証明しなければなりません。

具体的には、事業開始に必要な「所要資金」を算出し、その所要資金の100%以上の自己資金が、申請日から許可処分が下りるまでの間、常時確保されていることが必要です。

資金の証明は、銀行が発行する「残高証明書」を申請時と、その数ヶ月後の指定された時点の合計2回提出することで行います。

一時的に資金を借りて残高を増やしても、その後に引き出して基準額を下回ってしまえば、その時点で不許可となってしまいます。

所要資金には、車両費(一括購入費またはリース料の一定期間分)、営業所・車庫の借料(6ヶ月〜1年分)、人件費(2ヶ月〜3ヶ月分)、燃料費・油脂費(2ヶ月分)、各種保険料(1年分)などが含まれます。

一般的に、一般貨物運送会社の設立には1,500万円から2,000万円程度の自己資金必要となるケースが多く、綿密な資金計画と調達方法の検討が不可欠です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

軽貨物運送事業(正式名称:貨物軽自動車運送事業)は、一般貨物自動車運送事業に比べて参入障壁が非常に低く、個人事業主や小規模での起業に適しているのが特徴です。

一般貨物のような厳しい許可制ではなく、管轄の運輸支局へ「届出」を行うことで事業を開始できます。

ここでは、軽貨物運送会社を設立するためにクリアすべき具体的な届出要件について解説します。

3.1 軽貨物車両1台から始められる手軽さ

軽貨物運送事業の最大のメリットは、軽貨物車両が1台あればすぐに事業を開始できるという手軽さにあります。

一般貨物運送事業を始めるには最低でも5台以上のトラックとそれを運転する乗務員を確保しなければなりませんが、軽貨物であれば自身が運転する軽トラックや軽バン1台からスタート可能です。

また、一般貨物で求められるような「運行管理者」や「整備管理者」といった国家資格の保持者を配置する義務もありません。

運行管理は事業者自身が行うことができ、自己資金の最低額に関する厳格な基準や、資金調達の証明書を提出する必要もないため、初期費用を極限まで抑えてリスクを最小限に抑えながら運送業を起業できます。

3.2 営業所と車庫の確保基準

軽貨物運送事業を始めるにあたっては、営業活動の拠点となる営業所と、車両を保管する車庫を確保する必要があります。

一般貨物ほど厳格ではありませんが、以下の基準を満たしていなければ届出が受理されません。

まず、営業所については、使用する権原(所有権や賃貸借契約など)があることが求められます。

自宅の一室を営業所として登録することも可能です。ただし、都市計画法などの関係法令に抵触していない場所に限られます。

次に、車庫の確保基準については、以下のルールが定められています。

原則として、営業所に併設している必要があります。

営業所に併設できない場合は、営業所からの直線距離が2キロメートル以内でなければなりません。

また、計画するすべての車両を完全に収容できる広さがあること、車庫として使用する土地の所有権または1年以上の使用権原があること、道路交通法などの関係法令に抵触しておらず車両が安全に出入りできることが求められます。

営業所や車庫は、自己所有の物件だけでなく、賃貸マンションや月極駐車場であっても、契約内容において事業用としての使用が認められていれば問題ありません。

3.3 届出に必要な書類と手続きの流れ

軽貨物運送事業を開始するためには、営業所の所在地を管轄する地方運輸局の運輸支局へ必要書類を提出し、その後に軽自動車検査協会でナンバープレートの変更手続きを行います。

届出の際に必要となる主な書類は以下の通りです。

提出書類・必要書類概要・主な記載内容
貨物軽自動車運送事業経営届出書事業の名称、営業所の位置、計画する車両台数などを記載する基本の届出書です。
貨物軽自動車運送事業運賃料金設定届出書荷主から受け取る運賃や料金の基準を定めて届け出る書類です。
運賃料金表距離制運賃や時間制運賃など、具体的な料金体系をまとめた書面です。
事業用自動車等連絡書黒ナンバーを取得する際に、軽自動車検査協会へ提出する連絡用紙です。
車検証の写し登録する軽貨物車両の車検証のコピーです(新車の場合は車台番号が確認できる書面)。

手続きの具体的な流れは、まず管轄の運輸支局の窓口へ上記の届出書類一式を提出します。

書類に不備がなければ、その場で「事業用自動車等連絡書」に経由印が押されて返却されます。

その後、この連絡書と車検証、現在使用している黄色いナンバープレートを持参して、軽自動車検査協会で手続きを行うことで、事業用である黒ナンバーが交付されます。

この黒ナンバーを車両に取り付けた時点から、軽貨物運送事業者としての営業運転が可能となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

運送会社を設立して事業を開始するまでには、法人の設立から行政への申請、ナンバープレートの取得にいたるまで、数多くの公的な手続きをクリアしなければなりません。

一般貨物自動車運送事業と貨物軽自動車運送事業では、必要となる手続きの難易度や期間が大きく異なります。

全体の流れをあらかじめ把握し、計画的に準備を進めることが、スムーズな開業への近道となります。

ここでは、運送会社を設立する具体的な手順を3つのステップに分けて詳しく解説します。

4.1 ステップ1 株式会社や合同会社の設立手続き

運送業を始めるにあたっては、個人事業主として開業することも可能ですが、取引先からの信用獲得や資金調達、将来的な事業拡大を見据えると、法人を設立するのが一般的です。

法人の形態としては「株式会社」または「合同会社」を選択することが多く、それぞれ設立にかかる費用や手続きに違いがあります。

法人設立の主な流れは、会社の基本ルールとなる「定款(ていかん)」を作成し、公証役場で認証を受け(株式会社のみ)、法務局へ設立登記の申請を行います。登記が完了して初めて、法人としての実体が認められます。

株式会社と合同会社の設立手続きにおける主な違いは以下の通りです。

比較項目株式会社合同会社
定款の認証必要(公証役場での手数料が必要)不要
登録免許税最低15万円(資本金の1000分の7)最低6万円(資本金の1000分の7)
設立費用の目安約20万円〜25万円約6万円〜10万円
意思決定の迅速性株主総会などの手続きが必要社員(出資者)の合意で柔軟に決定可能

一般貨物運送業の場合、許可申請の段階で「法人格」を持っている必要があるため、申請手続きを開始する前に登記を完了させておくことが必須要件となります。

一方、軽貨物運送業の場合は個人事業主としての届出も容易ですが、法人の場合は登記後に届出を行います。

4.2 ステップ2 運輸局への経営許可申請または届出

法人の設立が完了したら、次に国土交通省(地方運輸局・運輸支局)に対して、運送業を行うための申請または届出を行います。

このプロセスが、一般貨物と軽貨物で最も大きく異なるポイントです。

4.2.1 一般貨物自動車運送事業の場合:経営許可申請

一般貨物運送業を始めるには、管轄の運輸支局を経由して地方運輸局長宛てに「一般貨物自動車運送事業の経営許可申請書」を提出します。
申請書には、営業所や車庫の図面、運行管理体制、資金計画を示す書類など、膨大な添付書類が必要となります。

申請書を提出した後は、約3ヶ月から5ヶ月に及ぶ厳格な審査が行われます。
この審査期間中に、申請法人の常勤役員が「法令試験」を受験し、合格することが義務付けられています。
法令試験は2ヶ月に1回実施され、万が一2回不合格になると申請が却下(または取下げ)となり、最初からやり直しになるため入念な対策が必要です。

4.2.2 貨物軽自動車運送事業の場合:経営届出

軽貨物運送業の場合は、許可ではなく「届出制」となっているため、手続きは非常にシンプルです。
管轄の運輸支局に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」と「運賃料金設定届出書」を提出します。
要件を満たしていれば、提出したその日のうちに届出が受理され、即日開業手続きを進めることが可能です。
法令試験や数ヶ月に及ぶ審査期間もありません。

4.3 ステップ3 運行管理者等の選任届と緑ナンバー黒ナンバーの取得

無事に許可の取得、または届出の受理が完了した後は、実際に事業を開始するための最終手続きを行います。

事業用自動車として公道を走るために必要なナンバープレート(緑ナンバー・黒ナンバー)を取得します。

4.3.1 一般貨物運送業(緑ナンバー)の取得手順

一般貨物運送業では、許可が下りた後に以下のステップを踏む必要があります。

まず、国に登録免許税として12万円を納付します。その後、選任予定の運行管理者および整備管理者の「選任届」を運輸支局に提出します。
同時に、社会保険や労働保険への加入手続きを済ませ、適性診断の受診や指導教育の計画を策定します。

これらの準備が整った段階で、運輸支局から「事業用自動車等連絡書(連絡書)」の発行を受けます。
この連絡書と車検証を管轄の自動車検査登録事務所(陸運局)に持参し、自家用ナンバー(白ナンバー)から事業用ナンバー(緑ナンバー)への変更登録を行います。
これでようやく、緑ナンバーを装着したトラックでの営業運転が可能になります。

4.3.2 軽貨物運送業(黒ナンバー)の取得手順

軽貨物運送業の場合は、届出が受理された際に運輸支局から「事業用自動車等連絡書」が即日交付されます。
この連絡書を持って、管轄の軽自動車検査協会へ向かいます。
軽自動車検査協会で車両の車検証を「事業用」に書き換える手続きを行い、黄色ナンバーから事業用ナンバー(黒ナンバー)への変更手続きを完了させます。
これにより、即座に軽貨物ドライバーとしての営業活動を開始することができます。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

運送会社を設立するためには、一般貨物と軽貨物のどちらを選ぶかによって、必要となる初期費用が大きく異なります。

特に一般貨物運送事業の許可を取得するためには、厳格な資金要件をクリアしなければなりません。

ここでは、それぞれの設立費用と必要資金の目安、初期コストを抑える方法、そして資金調達に欠かせない融資制度の活用法を詳しく解説します。

5.1 一般貨物運送会社の設立費用と必要資金の目安

一般貨物運送会社を設立する場合、最も高いハードルとなるのが「自己資金(資金調達額)」の要件です。許可申請時には、事業を開始するために必要な「所要資金」の全額に相当する自己資金が、申請者の預金口座に確保されている必要があります。

この所要資金には、車両費や土地・建物の借入料、人件費や燃料費などの運転資金(約6ヶ月分)が含まれます。

一般貨物運送会社の設立にかかる費用と必要資金の目安は以下の通りです。

費用項目金額の目安概要・内訳
法人設立費用約10万円〜25万円株式会社(約25万円)または合同会社(約10万円)の設立登記費用。
登録免許税12万円一般貨物自動車運送事業の許可取得時に国に納付する税金。
車両購入・リース費用約500万円〜1,500万円最低5台以上のトラック確保に必要な頭金や初期費用。
営業所・車庫の契約費用約100万円〜300万円敷金、礼金、仲介手数料、前家賃(数ヶ月分)。
各種保険料約50万円〜150万円自賠責保険および、高額な対人・対物賠償に対応する任意保険料。
人件費・運転資金約500万円〜1,000万円運転手5名以上、運行管理者、整備管理者の給与や燃料費(約6ヶ月分)。
合計目安(必要自己資金)約1,500万円〜2,500万円事業計画や規模により変動しますが、最低でもこの規模の資金証明が必要です。

一般貨物運送事業の許可申請では、申請時と申請から約2〜3ヶ月後の指定された時点の合計2回、残高証明書を提出して資金要件を満たしていることを証明しなければなりません。

この期間中、口座残高が所要資金を下回ると一発で不許可となってしまうため、資金計画には十分な余裕を持たせる必要があります。

5.2 軽貨物運送会社の設立費用と初期コストの抑え方

軽貨物運送会社(貨物軽自動車運送事業)は、一般貨物と比較して非常に少ない資金で開業できるのが最大のメリットです。

登録免許税は不要で、車両も1台から始められるため、個人事業主としてスタートすれば初期費用を劇的に抑えることができます。

費用項目個人事業主の目安法人設立の目安
法人設立費用0円約10万円〜25万円
登録免許税0円0円
車両準備費用約10万円〜150万円約10万円〜150万円(台数分)
黒ナンバー登録費用約2,000円約2,000円
任意保険料(年間)約15万円〜25万円約15万円〜25万円(台数分)
合計目安約30万円〜180万円約50万円〜250万円

軽貨物運送業で初期コストを抑えるための最大のコツは、中古車の活用やカーリースの利用です。

軽バンの新車購入には150万円前後の費用がかかりますが、状態の良い中古車であれば50万円以下で調達可能です。

また、初期費用を抑えられるカーリースを利用すれば、月々の定額支払いで車両を確保でき、突発的なメンテナンス費用も平準化できます。

さらに、自宅を営業所や車庫として届け出ることで、新たに不動産を契約する初期費用や家賃負担を完全にゼロに抑えることも可能です。

5.3 日本政策金融公庫などの融資制度を活用する方法

一般貨物運送会社の設立には数千万円規模の資金が必要となるため、自己資金だけで全てを賄うのは容易ではありません。

そこで、政府系金融機関である日本政策金融公庫や、民間金融機関の制度融資を活用した資金調達が不可欠となります。

ただし、一般貨物の許可要件である「自己資金」として認められるのは、申請者名義の口座にある預貯金です。

融資を受けて自己資金にする場合は、許可申請を行う前に融資を実行させ、口座に資金が入っている状態にしておかなければなりません。

融資を成功させるためには、以下のポイントを押さえた準備が必要です。

5.3.1 実効性の高い事業計画書の作成

融資審査において最も重視されるのが事業計画書です。
「どの荷主から、どのような条件で運送を受託するのか」という具体的な売上根拠を示す必要があります。
すでに取引を約束してくれている荷主企業がある場合は、運送契約の締結見込書や内定書を提出することで、融資の実行確率を大幅に高めることができます。

5.3.2 創業融資制度の選定

実績のない新設会社でも融資を受けやすい制度を選択することが重要です。
代表的な選択肢として以下の2つが挙げられます。

  • 日本政策金融公庫の「新創業融資制度」:無担保・無保証人で利用でき、自己資金の要件も比較的緩やかであるため、起業時のファーストチョイスとなります。
  • 自治体の「制度融資」:都道府県や市区町村、信用保証協会、民間金融機関が連携して提供する融資です。金利が低く、利子補給制度が受けられる場合もあります。

5.3.3 経営者の業界経験と自己資金の準備

融資審査では、経営者自身に運送業界での実務経験(特に運行管理者としての経験や役員経験)がどれだけあるかが問われます。
また、全く自己資金がない状態での融資は極めて困難です。
必要となる総資金のうち、少なくとも10分の1以上(できれば3分の1以上)は自力で貯めた自己資金を用意しておくことが、融資を引き出すための大前提となります。

運送会社の設立には、厳しい許可要件があるものの事業規模を拡大しやすい「一般貨物(緑ナンバー)」と、車両1台から手軽に始められる「軽貨物(黒ナンバー)」の2つの選択肢があります。

まずは自社の資金力や事業計画に合わせて、最適な区分を選択することが起業成功への第一歩です。

一般貨物の場合は自己資金の確保や運行管理者の配置など綿密な準備が必要となるため、日本政策金融公庫の融資制度なども視野に入れ、計画的に手続きを進めましょう。

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