会社員として働きながら自分の会社を設立することは法律上完全に可能ですが、「会社にバレるのではないか」と不安を抱える方は少なくありません。
この記事では、会社設立や副業が勤務先にバレてしまう最大の原因である住民税の通知の仕組みや、SNSなどの思わぬ落とし穴を解説します。
さらに、住民税を普通徴収に切り替えて絶対に会社にバレないようにするための具体的な対策方法や、事前に確認すべき就業規則の注意点まで網羅的にご紹介。
この記事を読むことで、会社員が安心して起業・会社設立を果たすための正しい知識と具体的な手順がすべて分かります。
1. 会社員が会社設立して副業することは法律的に可能
会社員として働きながら、自分で新たに会社を設立することは、法律上まったく問題なく可能です。
日本の法律において、会社員が起業することや法人を所有することを一律に禁止する規定は存在しません。
そのため、勤務先で働き続けながら、並行して自身のビジネスを持つことは法的な権利として認められています。
しかし、「法律的に可能であること」と「勤務先の会社に認められていること」は別問題です。
会社員が会社設立を行うにあたっては、日本の法制度や会社のルールにおける正しい知識を持っておくことが不可欠です。
ここでは、法律上の観点と会社の就業規則の観点から、会社設立が認められている理由と注意点を詳しく解説します。
1.1 憲法や会社法で認められている法人の設立権
日本国憲法では、第22条において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と規定されています。
この職業選択の自由には、自分で事業を営むことや会社を設立することも含まれています。
したがって、国や法律が会社員の起業自体を制限することはありません。
また、会社法においても、株式会社や合同会社などの法人を設立する際に、発起人や社員の資格として「会社員であることの禁止」を定めた条文は存在しません。
年齢や成年被後見人などの基本的な欠格事由に該当しなければ、誰でも法人の代表者や株主になることができます。
このように、法的な側面から見れば、会社員が会社設立を行うことは完全に適法です。
1.2 法律と就業規則の関係性と副業解禁の流れ
法律上は会社設立が可能である一方、多くの会社員が気にするのが勤務先の就業規則です。
日本の労働法では、企業が独自の就業規則を定めることが認められており、多くの企業で副業や兼業に関する規定が設けられています。
近年では、厚生労働省が策定した「モデル就業規則」の改定をきっかけに、副業や兼業を解禁または容認する企業が大手企業やIT企業を中心に増加しています。
しかし、すべての企業で自由に副業や会社設立が認められているわけではありません。
まずは、法的根拠と企業ルールの違いを以下の表で整理して確認してみましょう。
| 項目 | 法律(国の方針) | 会社の就業規則 |
|---|---|---|
| 会社設立の可否 | 可能(憲法上の職業選択の自由) | 企業の独自ルールによる(許可制・届出制・原則禁止など) |
| 違反時のペナルティ | 法律上の罰則なし | 就業規則違反による懲戒処分の可能性あり |
| 法的拘束力の強さ | 国家レベルの法規制 | 労働契約に基づく企業内のルール |
このように、法律上は会社設立が可能であっても、勤務先の就業規則で副業や兼業、さらには他社での役員就任などが禁止されている場合、就業規則違反に問われるリスクが生じます。
そのため、会社を設立する前には、必ず自身の勤務先の規程を確認し、法的な権利と企業のルールのバランスを慎重に考慮することが重要です。
1.3 競業避止義務と職務専念義務の基本知識
会社員が会社設立を行う際に、法律や契約の観点で特に注意しなければならないのが「競業避止義務」と「職務専念義務」です。
これらの義務は、法律の条文として明記されているものだけでなく、雇用契約に付随する信義誠実の原則に基づいて発生するものです。
職務専念義務とは、労働者が労働時間中は会社の仕事に専念しなければならないという義務です。
そのため、勤務時間中に設立した会社の業務を行ったり、準備を進めたりすることは明確な契約違反となります。
会社設立や副業の準備は、必ず就業時間外や休日に行う必要があります。
もう一つの競業避止義務とは、勤務先の会社の利益を害するような、競合する事業を行ってはならないという義務です。
例えば、勤務先と同じ業界で独自の会社を立ち上げ、自社の顧客やノウハウを流用するような行為は、会社法違反や損害賠償請求の対象になる重大なリスクを伴います。
会社設立を行う場合は、勤務先の事業内容と競合しない範囲で行うか、会社から明確な許可を得ることが大原則となります。
2. 会社員が会社設立したときに会社にばれる理由

会社員が副業目的や将来の独立に向けて会社設立を行った場合、「自分は本業の勤務時間外に動いているから大丈夫」と考えていても、思わぬところから会社に発覚してしまうケースが少なくありません。
会社設立そのものが法律違反にあたるわけではありませんが、会社のルールや税金の仕組みを理解していないと、意図せず人事部や上司に知られてしまうリスクが高まります。
会社設立や副業が会社にばれてしまう原因には、主に行政手続き上の仕組みと、周囲からのリークや情報漏洩という2つの大きな経路が存在します。
それぞれの理由を正確に把握しておくことが、対策を講じるための第一歩となります。
2.1 住民税の通知で会社設立や副業がばれる仕組み
会社員が会社に副業や会社設立を隠し通せない最大の理由が、住民税の特別徴収にかかる税額通知の仕組みです。
会社員の場合、毎年5月頃に市区町村から勤務先企業へ向けて、従業員が納めるべき住民税の金額が通知されます。
この通知書には、給与所得以外の所得も含めた総所得金額に基づいて算出された税額が記載されるため、ここに会社の給与以外の収入が反映されることで、経理担当者に副業の存在が気づかれてしまいます。
また、自分で会社(法人)を設立した場合、たとえ事業で利益が出ていなくても、都道府県や市区町村に対して法人の「均等割」と呼ばれる地方税を必ず納付する義務が生じます。
この法人の住民税や納税に関する通知が個人の自宅や会社に届いたり、役員報酬を設定して社会保険の手続きを行ったりする過程で、税務や社会保険のデータを通じて勤務先に知られてしまうケースも存在します。
住民税の金額と副業・会社設立の関係性について、以下の表で整理して確認します。
| 発覚の要因 | 仕組みと内容 | 会社に影響するポイント |
|---|---|---|
| 給与所得以外の所得 | 副業による雑所得や事業所得が本業の給与と合算されて住民税が算出される。 | 特別徴収税額の通知書に記載された金額が給与の割に高いため、経理担当者に疑われる。 |
| 法人の均等割の発生 | 会社を設立すると、赤字であっても法人住民税の均等割の納税義務が発生する。 | 行政機関からの通知や手続きの過程で、法人を所有していることが露呈するリスクがある。 |
| 役員報酬の設定と社会保険 | 設立した会社から自分自身へ役員報酬を支払い、社会保険に加入する手続きを行う。 | 社会保険の資格取得手続きや健康保険組合のデータ連携により、本業以外の所属が判明する。 |
2.2 同僚やSNSから会社設立が会社にばれるリスク
税金や社会保険といった公的手続き以外で、最も多い原因の一つが人間関係や情報発信を起点とした発覚です。
会社員としての立場がありながら会社を設立した場合、その事実を周囲に秘密にしておきたいと考えるのが一般的ですが、ちょっとした気の緩みやプライベートでの発言が原因で会社に伝わってしまうことがあります。
具体的なリスク要因としては、以下のようなシチュエーションが挙げられます。
- 信頼している同僚や友人フレンズに「実は会社を設立した」と打ち明け、そこから社内に噂が広がってしまうケース
- X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、あるいは個人のブログやnoteにおいて、実名や特定されやすい個人情報を使ってビジネスの成果や起業の苦労を発信してしまうケース
- 法人の登記情報はインターネット上の商業登記データベースを通じて誰でも閲覧できるため、社内の好奇心旺盛な人物や取引先から検索されて偶然発見されるケース
- 名刺交換やビジネス上の会合で知り合った関係者が、本業の勤務先とつながりを持っていたために情報が漏れるケース
このように、公的な書類だけでなく、日頃のコミュニケーションやデジタルタトゥーとも言えるネット上の発言が、会社設立を会社に知られる大きな引き金となります。
3. 会社員が会社設立しても絶対にばれないための対策方法

会社員が会社設立を行ったとしても、適切な対策を講じれば会社に知られるリスクを大幅に下げることができます。
ここでは、副業や法人設立が勤務先に知られないようにするための具体的なアプローチについて詳しく解説していきます。
3.1 住民税を普通徴収にして会社設立を隠す方法
会社に副業や会社設立が知られてしまう最大の原因は、住民税の金額と納付の仕組みにあります。
通常の給与所得者の場合、住民税は会社の給与から天引きされる特別徴収という方式が採用されています。
この方式では、事業所得や雑所得などによる副収入が増えると住民税の額も連動して跳ね上がるため、経理担当者に不審がられるきっかけとなります。
これを防ぐためには、確定申告の際に住民税の徴収方法を自分で選ぶ必要があります。
確定申告書の住民税に関する事項において、自分で納付(普通徴収)という項目に必ずチェックを入れましょう。
これにより、会社設立によって発生した事業利益に対する住民税の納付書が自宅に直接届くようになり、会社の給与から天引きされる住民税額が変わらないため、会社に通知がいかなくなります。
ただし、お住まいの自治体や税務署の運用によっては、給与所得以外の所得にかかる住民税についても自動的に特別徴収への切り替えを求められるケースが一部に存在します。
そのため、確定申告を済ませた後には、必ず管轄の市区町村の役所の課税課へ電話や窓口で連絡を入れ、住民税が普通徴収に正しく設定されているかを確認することが確実な対策となります。
3.2 副業や会社設立について会社の就業規則を確認する重要性
どれほど税務上の対策を徹底してプライバシーを守ったとしても、会社のルールそのものを把握していなければ予期せぬトラブルに発展するおそれがあります。
会社設立や副業を行う前段階として、必ず会社の就業規則や服務規程を熟読し、社内ルールを正確に把握しておくことが不可欠です。
就業規則における副業や兼業に関する規定は、企業によって大きく異なります。
近年では政府の働き方改革の後押しもあり、副業を全面的に解禁する企業が増加していますが、依然として原則禁止や許可制をとっている会社も多く存在します。
会社の規則や法律に関する主なポイントを以下の表に整理しました。
| 項目の種類 | 内容と注意点 | 会社員が取るべきアクション |
|---|---|---|
| 就業規則の確認 | 副業禁止規定の有無や、競業避止義務、秘密保持義務がどのように定められているかを確認する。 | 人事部や総務部が公開している社内規程を事前にくまなく確認する。 |
| 法律上の位置づけ | 日本国内において、法人が会社を設立して役員に就任すること自体は憲法で保障された職業選択の自由であり違法ではない。 | 法律上は可能であるという前提を持ちつつ、会社の契約違反にならないかを精査する。 |
| 届出と承認 | 会社が副業や法人設立を許可制にしている場合、無断で行うと懲戒処分の対象となるリスクがある。 | ルール上許可されている場合は、上司や人事へ事前に申請を行いトラブルを防ぐ。 |
就業規則を確認する際は、単に副業の可否を見るだけでなく、本業の業務時間に影響を与えないことや、会社の資産や人脈を私的に流用しないことなど、企業秩序を乱さないための遵守事項もあわせて確認しておきましょう。
万が一ルールに違反していることが発覚した場合には、戒告や減給といった重い懲戒処分を下されるリスクもあるため、慎重な判断が求められます。
4. 会社員が会社設立する際の注意点と準備

会社員が副業として、あるいは将来の独立を見据えて新たに会社を設立する際には、事前に確認すべき重要な注意点や、スムーズに事業をスタートするための綿密な準備が必要となります。
本業に支障をきたさず、会社からの信頼を損なわないためにも、以下のポイントをしっかりと押さえておきましょう。
4.1 会社の就業規則で副業や兼業が禁止されていないか最終確認する
会社を設立して自分のビジネスを持つこと自体は法律で認められていますが、勤務先の会社の就業規則に違反していないかを確認することは極めて重要です。
多くの企業では就業規則において副業や兼業、他社での役員就任などを制限または禁止しています。
会社の許可なく会社設立や営業活動を行うと、就業規則違反として懲戒処分を受けるリスクがあります。
まずは所属する会社の規定を熟読し、必要であれば人事部や上長に相談してルールをクリアにすることが先決です。
4.2 本業の業務時間外や会社の資源を使わない徹底
会社設立の準備や実際の事業運営は、必ず就業時間外に行うように徹底してください。
昼休みの休憩時間や勤務時間中に会社のパソコン、スマートフォン、インターネット回線、オフィス備品などを使用して副業の業務を行うことは、会社の資源の私的流用とみなされ、重大なトラブルに発展する原因となります。
また、会社の信用や顧客情報を個人的なビジネスに流用することも厳に慎まなければなりません。
4.3 会社設立時に必要となる初期費用と資金計画の策定
会社を設立するには、法的な手続きにかかる実費だけでなく、事業を軌道に乗せるまでの資金が必要となります。
株式会社や合同会社を設立する際には、以下のようなコストが発生するため、綿密な資金計画を事前に立てておくことが成功の鍵となります。
| 費用項目 | 株式会社の目安 | 合同会社の目安 | 内容と備考 |
|---|---|---|---|
| 定款認証手数料 | 約30,000円から50,000円 | 不要 | 公証役場での定款認証にかかる費用(合同会社は不要) |
| 定款謄本手数料 | 約1,000円から2,000円 | 不要 | 定款の謄本交付手数料 |
| 登録免許税 | 最低150,000円 | 最低60,000円 | 法務局での会社設立登記の際に納付する税金 |
| 法人実印の作成費 | 約5,000円から20,000円 | 約5,000円から20,000円 | 代表者印、銀行印、角印などのセット購入費 |
| 資本金 | 1円から(実務上は数万円から数十万円以上) | 1円から(実務上は数万円から数十万円以上) | 事業開始までの運転資金を含む元手 |
4.4 家族や信頼できる協力者の理解とサポートを得る
会社員として働きながら会社の設立準備を進め、さらに事業を運営していくには膨大な時間と労力がかかります。
休日や平日の夜間をビジネスに充てることになるため、配偶者や家族の理解と協力が不可欠です。
家庭内の時間を犠牲にしすぎたり、事前の相談なしに突然会社を設立したりすると、プライベートでのトラブルを引き起こす原因になりかねません。
事前に事業の目的や将来の展望を共有し、協力体制を築いておくことが大切です。
4.5 税理士や司法書士などの専門家への相談を検討する
会社設立の手続きは、定款の作成から法務局への登記申請、税務署や都道府県税事務所への各種届出など、専門的な知識を要する作業が多く存在します。
会社員として多忙な日々を送りながら、これらすべてを一人で正確にこなすのは大きな負担となります。
設立手続きを司法書士に依頼し、その後の税務や確定申告を税理士にサポートしてもらうことで、本業への影響を最小限に抑えながら、確実かつスムーズに会社設立を完了させることができます。
5. まとめ
会社員であっても会社設立は法律的に可能であり、副業を行うこと自体に制限はありません。
しかし、会社設立や副業が会社にばれる最大の理由は住民税の通知にあります。住民税の徴収方法を「普通徴収」に設定することで、会社に知られるリスクを大幅に下げることができます。
また、会社の就業規則を事前に確認し、トラブルを防ぐことも極めて重要です。
しっかりと対策を講じることで、安心して会社設立に挑戦しましょう。