「会社設立を誰に依頼すべきか」「公認会計士と税理士の違いがわからない」とお悩みではありませんか?
この記事では、会社設立を会計士に依頼するメリット・デメリットや費用相場、税理士との違いを徹底解説します。
結論として、将来的なIPOや大規模な資金調達、事業拡大を目指すなら会計士、小規模なスタートで日々の税務申告を重視するなら税理士への依頼が最適です。
この記事を読めば、自社に最適なパートナーの選び方が明確になり、スムーズな起業手続きと設立後の安定した経営基盤を築く方法が分かります。
1. 会社設立を会計士に依頼するべきか
会社設立を検討する際、登記や税務の専門家として誰に相談すべきか悩む経営者は少なくありません。
特に「公認会計士」と「税理士」は、どちらもお金と税金に関するプロフェッショナルであるため、その違いが分かりにくいと感じる方が多いでしょう。
結論から申し上げますと、会社設立を会計士に依頼すべきかどうかは、設立する企業の規模や将来の成長ビジョンによって大きく異なります。
まずは、公認会計士と税理士の根本的な違いと、会社設立におけるそれぞれの専門分野について正しく理解していきましょう。
1.1 公認会計士と税理士の根本的な違い
公認会計士と税理士は、根拠となる法律や主な独占業務、そして本来の支援対象が大きく異なります。
公認会計士は「公認会計士法」に基づき、主に大企業の財務諸表が正しいかどうかを第三者の立場から検証する「監査」を独占業務としています。
一方で税理士は「税理士法」に基づき、個人事業主や中小企業、個人を対象に「税務代理」や「税務書類の作成」を行うのが主な役割です。
両者の根本的な違いを分かりやすく整理するために、以下の比較表を作成しました。
| 比較項目 | 公認会計士 | 税理士 |
|---|---|---|
| 主な根拠法 | 公認会計士法 | 税理士法 |
| 主な独占業務 | 財務諸表の「監査」および証明 | 「税務」の代理、申告書類の作成、税務相談 |
| 主なクライアント | 上場企業、大企業、IPO準備企業 | 中小企業、個人事業主、一般個人 |
| 得意とする分野 | 財務会計、管理会計、内部統制、M&A、IPO支援 | 法人税・所得税などの税務申告、節税対策、記帳代行 |
| 税理士業務への対応 | 税理士登録をすれば税理士業務も行える | 公認会計士の独占業務(監査)は行えない |
ここで重要なポイントは、公認会計士は税理士会に登録することで、税理士としての業務(税務申告や税務相談)も行うことができるという点です。
そのため、会社設立支援やその後の税務顧問を提供している公認会計士事務所の多くは、税理士としての資格も有して活動しています。
1.2 会社設立におけるそれぞれの専門分野
会社設立というライフイベントにおいて、公認会計士と税理士が発揮する専門性はそれぞれ異なります。
どちらに依頼するかによって、設立時および設立直後のサポート内容に以下のような違いが生まれます。
1.2.1 公認会計士の専門分野:資本政策と事業計画の策定
公認会計士は、企業財務(ファイナンス)のスペシャリストです。
会社設立時においては、単なる登記手続きや届出書の作成にとどまらず、以下のような高度な意思決定をサポートすることを得意としています。
- 将来の外部資金調達(ベンチャーキャピタルや金融機関など)を見据えた最適な資本金の設定
- 新規事業の立ち上げに必要な、精緻な事業計画書および資金繰り予定表の作成
- 株式比率や経営権の確保を考慮した資本政策の立案
将来的にベンチャーキャピタルからの出資を受けたい、あるいは株式公開(IPO)を目指すという明確な目標がある場合は、設立当初から公認会計士の知見を取り入れることが極めて有効です。
1.2.2 税理士の専門分野:確実な税務届出と日々の記帳体制の構築
税理士は、税金の申告と節税対策のスペシャリストです。
会社を設立すると、税務署や都道府県税事務所、市区町村に対して様々な税務届出書を提出する必要があります。
税理士は以下の実務において圧倒的な強みを持っています。
- 「青色申告の承認申請書」など、期限を過ぎると不利になる税務届出の確実な提出
- 役員報酬の決定や、設立初年度からできる具体的な節税シミュレーション
- 日々の領収書整理から会計ソフトへの入力(記帳代行)などの実務サポート
多くの新設法人は、まずは日々の税務処理を正しく行い、無駄な税金の支払いを防ぐことが最優先課題となります。
そのため、身近な税金の相談相手として、また実務的な記帳・申告の代行者として依頼する場合は税理士が適任となります。
2. 会社設立を会計士に依頼するメリット

会社設立を公認会計士に依頼することには、単なる登記手続きや税務申告の代行にとどまらない、多くのメリットがあります。
公認会計士は、企業の財務や監査に関する高度な専門知識を持つため、事業を大きく成長させたい経営者にとって強力なパートナーとなります。
ここでは、具体的な3つのメリットを詳しく解説します。
2.1 財務分析や資金調達のサポートが強い
公認会計士は財務のスペシャリストであり、会社設立初期において最も重要とも言える「資金繰り」や「資金調達」において非常に強いサポート力を発揮します。
融資を受けるためには、実現可能性の高い事業計画書や創業計画書の作成が不可欠です。
公認会計士に依頼することで、客観的なデータと精緻な財務分析に基づいた説得力のある計画書を作成できるため、金融機関からの信頼を得やすくなります。
日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資、さらにはベンチャーキャピタルからの出資を受ける際など、状況に応じた最適な資金調達手法を提案してもらえる点も大きなメリットです。
| 資金調達の手法 | 公認会計士による主なサポート内容 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫・民間銀行融資 | 実現性の高い創業計画書・資金繰り表の作成、金利や返済期間の交渉アドバイス |
| 制度融資(自治体提携) | 信用保証協会や自治体向けの申請書類作成、要件適合性の確認 |
| ベンチャーキャピタル(VC)からの出資 | 企業価値評価(バリュエーション)の算出、資本政策の策定支援 |
2.2 将来的なIPOや事業拡大を見据えたアドバイスを受けられる
将来的に株式公開(IPO)を目指している場合や、短期間での急激な事業拡大を計画している場合は、設立当初から公認会計士に依頼するメリットが極めて大きくなります。
IPOを実現するためには、適正な会計処理(企業会計基準への準拠)や、不正を防ぐための内部統制システムの構築が必須要件となります。
一般的な税理士事務所では対応が難しい「監査法人による会計監査への対応」や「証券会社による審査への対策」についても、元々監査法人出身者が多い公認会計士であれば、実務に即した具体的なアドバイスが可能です。
設立初期からIPOを見据えた組織設計を行うことで、後々の手戻りや余計なコストの発生を防ぐことができます。
2.3 税務だけでなく経営全般のコンサルティングが可能
税理士の主な業務が「過去の取引結果に基づく税務申告」であるのに対し、公認会計士は「未来の意思決定のための財務・経営分析」を得意としています。
管理会計の導入により、どの事業が利益を生んでいるのか、どこにコストが無駄に使われているのかを可視化し、経営状況をリアルタイムで把握できる体制を整えます。
また、事業が軌道に乗った後のM&A(企業の合併・買収)や、将来的な事業承継、組織再編といった高度な経営戦略についても、財務的な観点から一貫したコンサルティングを受けられます。
単なる税金計算の枠を超え、企業の持続的な成長を支えるアドバイザーとして並走してくれる点が、公認会計士に依頼する最大の強みです。
3. 会社設立を会計士に依頼するデメリットと注意点

会社設立を公認会計士に依頼することには多くのメリットがある反面、事前に理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。
特に費用面や自社の事業規模との相性については、慎重に検討しなければ後悔する原因になりかねません。
ここでは、主な2つのデメリットと注意点について詳しく解説します。
3.1 税理士に比べて顧問料などの費用が高くなる傾向がある
公認会計士に会社設立やその後の顧問契約を依頼する場合、一般的な税理士事務所と比較して顧問料や各種報酬が高く設定されている傾向があります。
公認会計士は、企業の財務監査や組織再編、IPO(新規公開株)支援といった高度かつ専門的な業務に対応できる資格であるため、その専門性の高さが料金に反映されるためです。
具体的な費用相場の違いを理解するために、一般的な税理士と公認会計士の年間コストの目安を以下の表にまとめました。
| 項目 | 税理士(一般的な相場) | 公認会計士(一般的な相場) |
|---|---|---|
| 設立時の手数料 | 約5万円〜10万円 | 約10万円〜20万円 |
| 月額顧問料 | 約2万円〜5万円 | 約4万円〜8万円 |
| 決算申告料 | 約10万円〜20万円 | 約15万円〜30万円 |
このように、設立当初の資金に余裕がないスタートアップ企業や、できるだけランニングコストを抑えたいと考えている起業家にとって、公認会計士との顧問契約は毎月の資金繰りを圧迫する要因になる可能性があります。
依頼する前に、提示された見積もりが自社の予算に見合っているかを必ず確認しましょう。
3.2 個人事業主や小規模な会社設立にはオーバースペックな場合もある
公認会計士の強みは、大規模な財務データの分析や、将来的な株式公開(IPO)を見据えた内部統制の構築、大規模な資金調達のサポートなどにあります。
そのため、家族経営の小規模な会社や、当面は事業拡大を予定していない個人事業主からの法人成りなどの場合、公認会計士のサポートはオーバースペックになってしまうことがあります。
3.2.1 日常的な税務業務がメインなら税理士で十分な理由
会社設立直後に必要となる主な実務は、日々の帳簿付け(記帳代行)や、源泉所得税の納付、年末調整、そして年1回の決算申告です。
これらの日常的な税務手続きや節税対策は税理士の専門分野であり、税理士に依頼すれば必要十分なサポートを受けることが可能です。
高度な経営コンサルティングや財務分析を必要としない段階で公認会計士に高い報酬を支払い続けることは、費用対効果の観点からも推奨できません。
自社のビジネスモデルや将来のビジョンを冷徹に見極め、本当に公認会計士のスキルが必要とされるフェーズにあるのかを判断することが重要です。
4. 会社設立を会計士に依頼したときの費用相場

会社設立を公認会計士に依頼する際、最も気になるのが「一体いくらかかるのか」という費用面ではないでしょうか。
会計士に依頼する場合の費用は、主に「会社設立の手続きそのものにかかるスポット費用」と、「設立後の顧問契約に伴うランニングコスト」の2つに大別されます。
会計士は税務だけでなく高度な財務コンサルティングを行うため、一般的な税理士事務所よりも費用が高めに設定されているケースがあります。
ここでは、それぞれの具体的な費用相場と内訳を詳しく解説します。
4.1 会社設立手続きのみを依頼する場合の費用
会社設立の登記手続きや必要書類の作成のみをスポットで依頼する場合の費用相場です。
公認会計士自身は登記申請の独占業務を持たないため、通常は提携している司法書士と共同で手続きを行います。
そのため、費用には会計士・司法書士への報酬と、法定費用(実費)の双方が含まれます。
株式会社と合同会社(LLC)では、国に支払う法定費用が異なるため、総額も以下のように変わります。
| 設立する会社形態 | 法定費用(登録免許税・定款認証代など) | 会計士・司法書士への報酬相場 | 実質的な総額相場 |
|---|---|---|---|
| 株式会社 | 約200,000円〜220,000円 | 50,000円〜150,000円 | 約250,000円〜370,000円 |
| 合同会社 | 約60,000円 | 50,000円〜100,000円 | 約110,000円〜160,000円 |
なお、会計士と設立後に「顧問契約」を結ぶことを前提としている場合、この設立手続き報酬(手数料)が0円(実費のみ)になるキャンペーンを行っている会計事務所も多く存在します。
4.2 設立後の顧問契約を含めた年間の費用相場
会社は設立して終わりではなく、日々の記帳代行、月次の財務分析、決算申告、そして経営コンサルティングなど、設立後の継続的なサポートが不可欠です。
公認会計士と顧問契約を結ぶ場合の費用相場は、会社の売上規模や依頼する業務範囲によって変動します。
4.2.1 月額顧問料と決算料の相場
一般的な年間費用は、「月額顧問料×12ヶ月 + 決算申告料(月額の4〜6ヶ月分)」という構成で算出されます。
売上規模に応じた具体的な相場は以下の通りです。
| 年間売上規模 | 月額顧問料の相場 | 決算申告料の相場 | 年間費用の総額目安 |
|---|---|---|---|
| 年商1,000万円未満 | 25,000円〜40,000円 | 120,000円〜200,000円 | 約420,000円〜680,000円 |
| 年商1,000万円〜5,000万円 | 35,000円〜60,000円 | 150,000円〜300,000円 | 約570,000円〜1,020,000円 |
| 年商5,000万円〜1億円 | 50,000円〜80,000円 | 200,000円〜400,000円 | 約800,000円〜1,360,000円 |
| 年商1億円以上(IPO準備含む) | 80,000円〜200,000円以上 | 300,000円〜800,000円以上 | 約1,260,000円〜3,200,000円以上 |
4.2.2 その他の追加オプション費用
上記の基本顧問料に含まれない、主な追加業務の費用相場は以下の通りです。
これらは必要に応じて都度発生します。
- 記帳代行手数料:月額10,000円〜30,000円(仕訳数に応じて変動)
- 年末調整・法定調書作成:基本料金10,000円+従業員1人あたり1,000円〜3,000円
- 資金調達・融資サポート:着手金+融資実行額の3%〜5%程度の成功報酬
- IPO(新規公開株)支援・内部統制構築:月額300,000円〜1,000,000円以上(企業の規模や準備状況により個別見積もり)
公認会計士に依頼する場合、単なる税務申告の代行にとどまらず、キャッシュフロー改善のための財務コンサルティングや、将来的な経営計画の策定支援が含まれることが多いため、税理士単独の相場よりも1割〜3割ほど高くなる傾向があります。
しかし、その分経営の意思決定に直結する高品質なフィードバックを得られるという大きな価値があります。
5. 会計士と税理士のどちらに会社設立を依頼すべきか

会社設立を検討する際、公認会計士と税理士のどちらにサポートを依頼すべきかは、起業家が最初に直面する大きな選択肢の一つです。
両者はともに「お金」を扱うプロフェッショナルですが、その得意領域や提供できる価値は大きく異なります。
自社の現在の状況や将来のビジョンに合わせて、最適なパートナーを選ぶことが、設立後のスムーズな経営につながります。
ここでは、会計士と税理士のどちらに依頼すべきかを判断するための基準を、それぞれの特徴を整理した比較表とともに詳しく解説します。
| 比較項目 | 公認会計士 | 税理士 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 財務監査、管理会計、経営コンサルティング | 税務申告、税務相談、記帳代行 |
| 得意とする事業規模 | 中堅・大企業、IPO(新規公開株)を目指すスタートアップ | 個人事業主、中小企業、小規模事業者 |
| 資金調達への強み | 事業計画書作成、ベンチャーキャピタル等からの出資調達 | 日本政策金融公庫や地方銀行からの融資・融資斡旋 |
| 費用感(顧問料など) | 比較的高い(専門性の高い経営支援を含むため) | 比較的リーズナブル(記帳や税務に特化しているため) |
5.1 会計士への依頼が向いているケース
公認会計士への依頼は、単なる税金の計算にとどまらず、財務戦略を駆使して会社を急速に成長させたい場合に最適です。
具体的には、以下のようなケースに当てはまる起業家は、会計士をパートナーに選ぶべきです。
5.1.1 将来的にIPO(株式公開)を目指している
将来的に株式上場(IPO)を視野に入れている場合は、設立当初から公認会計士に依頼することを強くおすすめします。
上場準備には、金融商品取引法に基づく厳格な「会計監査」への対応や、強固な「内部統制」の構築が不可欠です。
これらは公認会計士の独占業務であり、最も得意とする分野です。
後から会計基準を変更する手間を防ぐためにも、最初から上場準備を見据えた会計体制を構築しておくことが成功への近道となります。
5.1.2 ベンチャーキャピタルなど外部からの大規模な資金調達を予定している
金融機関からの融資だけでなく、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家からの出資、J-KISSなどの手法を用いた資金調達を計画している場合も、会計士のサポートが有利に働きます。投資家を納得させるための精緻な事業計画書の作成や、企業の将来価値を算出する企業価値評価(バリュエーション)の策定において、高い財務スキルを持つ会計士は非常に頼もしい存在となります。
5.1.3 M&Aや海外展開などダイナミックな事業拡大を計画している
他社の買収(M&A)による事業拡大や、海外子会社の設立といったグローバル展開を計画している場合、複雑なグループ連結会計や組織再編税制への対応が必要になります。
こうした高度な財務スキームの構築や、デューデリジェンス(投資対象の価値・リスク調査)の実施には、大企業の監査経験やコンサルティング経験が豊富な公認会計士の知見が欠かせません。
5.2 税理士への依頼が向いているケース
一方で、日本国内の多くの新設法人にとって、身近な税務の専門家である税理士への依頼が現実的かつ最適な選択肢となるケースも多々あります。
以下のような場合は、税理士に依頼するのが賢明です。
5.2.1 スモールビジネスや地域密着型の事業を展開する
飲食店、美容室、小売業、建設業など、地域に根ざした事業や、当面は家族や少人数の従業員で経営するスモールビジネスの場合、高度な財務分析よりも日々の正確な記帳と税務申告が重要です。
身近な街の税理士に依頼することで、コストを抑えながら確実な税務サポートを受けることができます。
5.2.2 確実な節税対策や税務署対策を重視したい
「無駄な税金を払いたくない」「税務調査が入っても安心な経営を行いたい」という実務的な要望に対しては、税務のスペシャリストである税理士が最も力を発揮します。
最新の税制改正に基づいた役員報酬の設定、小規模企業共済の活用、各種特別控除の適用など、会社にお金を残すための具体的な節税アドバイスを的確に受けることができます。
5.2.3 創業融資の獲得や補助金・助成金の申請を考えている
日本政策金融公庫や地元の信用金庫などからの「新創業融資制度」を利用したい場合、地域に密着した税理士は金融機関との強いパイプを持っていることが多く、融資の推薦状を書いてもらえることもあります。
また、創業期に使える各種補助金や助成金の申請サポート実績が豊富な税理士も多く、手元資金を厚くするための現実的な資金調達支援を得意としています。
6. 会社設立を会計士に依頼する際の流れ

公認会計士に会社設立を依頼する場合、単に登記手続きを代行してもらうだけでなく、設立前後の財務設計や税務届出までを見据えた一連のプロセスが存在します。
スムーズに事業を開始するためにも、全体の流れと各ステップでの具体的なアクションを把握しておきましょう。
6.1 事前の相談と見積もりの確認
最初のステップは、公認会計士との個別面談による事前相談です。
この段階では、起業の動機や事業計画、資金調達の必要性についてヒアリングが行われます。
会計士は、本当に会社設立(法人化)すべきタイミングなのか、個人事業主のまま進めるべきなのかを財務的な視点から客観的に判断します。
事前相談の際には、依頼する業務範囲とそれに対する費用について、詳細な見積もりを提示してもらいましょう。
会社設立手続きのみをスポットで依頼するのか、設立後の顧問契約まで含めるのかによって費用は大きく変動します。
契約後のトラブルを防ぐためにも、以下の項目を事前に確認しておくことが重要です。
| 確認すべき項目 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 業務範囲の明確化 | 定款作成、登記申請、税務署への届出など、どこまでを会計士側が代行・サポートしてくれるか。 |
| 実費と報酬の区別 | 登録免許税や定款認証手数料などの「法定費用(実費)」と、会計士への「手数料(報酬)」が明確に区別されているか。 |
| 顧問契約の条件 | 設立後に顧問契約を結ぶ場合、月額顧問料や決算申告料、記帳代行料などの内訳はどうなっているか。 |
6.2 定款作成と登記手続きの進め方
見積もりや契約内容に合意した後は、いよいよ会社の骨組みとなる「定款(ていかん)」の作成と、法務局への「登記申請」へと進みます。
定款とは、会社の憲法にあたる基本的な規則のことです。公認会計士と相談しながら、商号(社名)、事業目的、本店所在地、資本金額、発起人、役員構成などを決定します。
特に事業目的の書き方は、将来的な許認可申請や融資審査に影響を及ぼすため、会計士のアドバイスを受けながら慎重に策定します。
定款の作成後は、公証役場で公証人による定款認証を受けます(株式会社の場合)。
定款認証が完了したら、出資金の払い込みを行い、法務局へ設立登記の申請を行います。
なお、法律の規定により、登記申請手続きの代行(代理送信等)を行えるのは司法書士のみと定められています。
そのため、多くの公認会計士事務所では、提携している司法書士と連携してワンストップで登記手続きを完了させる体制を整えています。
依頼者自身が個別に司法書士を探す手間は通常かかりません。
6.3 設立後の税務署への届出と顧問契約の締結
法務局への登記申請が完了し、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が取得できるようになると、無事に会社が設立されたことになります。
しかし、会社設立はゴールではなくスタートです。設立直後には、税務署や地方自治体に対して様々な届出書を提出する必要があります。
公認会計士は税理士資格も有している(または税理士登録を行っている)ため、これらの税務関係の届出書の作成・提出を代行できます。
提出期限が「設立から2ヶ月以内」などと厳しく定められている書類も多いため、漏れなく迅速に対応してもらうことが重要です。
6.3.1 設立直後に提出が必要な主な税務届出書
会社設立後に提出すべき代表的な税務関係書類は以下の通りです。
特に青色申告の承認申請書は、提出期限を過ぎると初年度の税制優遇措置(欠損金の繰越控除など)を受けられなくなるため、最優先で手続きを行います。
| 届出書の名称 | 提出先 | 提出期限の目安 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署、都道府県税事務所、市区町村役場 | 設立の日以後2ヶ月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立の日以後3ヶ月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 給与支払事務所等を開設した日から1ヶ月以内 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 税務署 | 給与の支払を開始する日(随時受付) |
これらの税務届出書の提出と並行して、設立後の継続的なサポートを受けるための「顧問契約」を正式に締結します。
公認会計士との顧問契約を結ぶことで、日々の記帳指導や会計監査、月次の財務分析、資金繰り対策、そして年一回の決算申告まで、経営の意思決定に必要な財務インフラを強固に構築していくことができます。
7. まとめ
会社設立を公認会計士に依頼すべきかは、目指す事業規模や将来のビジョンによって決まります。
税務申告が中心の小規模な起業であれば税理士で十分ですが、将来的なIPO(新規公開株)やM&A、大規模な資金調達、財務分析に基づく経営コンサルティングを必要とする場合は、会計士への依頼が最適です。
会計士は費用が高めになる傾向があるため、自社の成長フェーズと予算を考慮し、メリットがコストを上回るかを判断基準にしましょう。
まずは事前の無料相談などを活用し、自社に最適なパートナーを選ぶことが会社設立を成功させる鍵となります。